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ただの続編じゃない『魔女の盟約』 大沢在昌

"魔女の盟約 (文春文庫)" (大沢 在昌) タイトルから想像がつくようにこの『魔女の盟約』は『魔女の笑窪』の続編として存在している。が、続編として書かれているというよりも、別のステージ、あるいは別のテーマとして書かれた作品と認識した方がいい。 この…

『N』が誰かなんて気にする作品じゃない! 『Nのために』 湊かなえ

"Nのために" (湊 かなえ) 『本が好き!』主催の『往復書簡』リアル読書会がきっかけでこの本を購入した。購入したのは読書会の後すぐだったけど、この時期になってしまった。 まず過去に読んだ『告白』や『往復書簡』に比べてメッセージ性が高い作品という印…

今がまさに旬! 『Facebookをビジネスに使う本』 熊坂仁美

"Facebookをビジネスに使う本" (熊坂 仁美) 日本でもじわじわと広がりつつあるFacebookだけど、現時点では『ビジネス向け』に書かれた唯一の本だろう。まだまだFacebookの基本的な使い方や機能の紹介が中心な状況を考えると、かなり先行している著作だと思う…

効果的に運動するために 『ジムに通う前に読む本』 桜井 静香

会社を辞めてから市営のスポーツジムに定期的に通うようにしている。年齢的にも何もしなければ体力は落ちていく一方だし、せっかく時間が自由になることもあり、週に2-3回は汗を流すようにしている。これでも、大学時代は平均で週に3回はジムに通っていたの…

実験結果という『事実』を突きつけられると納得させられます 『不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」』 ダン・アリエリー

"不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」" (ダン アリエリー, Dan Ariely) 行動経済学という言葉がもてはやされて数年経つけど、本書のように読みながらところどころ笑ってしまう、そう、楽しんで読み進められる本は少ない。著者のダン…

1月3日のライスボウルを見たら読んでみて欲しい 『ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟』 マイケル・ルイス

"ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟" (マイケル ルイス) 今年読んだ本の中での指折りの一冊だった。誰にでも同じ感動を与えるかどうかは別にして、僕にとってはたまたま興味深く、そして考えさせられる物語だった。 1990年頃まで、今とは違ってか…

『勝つこと』だけがゴールじゃない 『日曜日のピッチ 父と子のフットボール物語』 ジム・ホワイト

"日曜日のピッチ 父と子のフットボール物語" (ジム・ホワイト) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 かつて出張でUKに行き、取引先のメンバーと一緒に夜のパブでサッカー観戦した時に『これじゃいつまでたっても日本は勝てないな』と痛感した。…

『交渉』という唯一の武器で戦う 『ニッポン泥棒』 大沢在昌

"ニッポン泥棒〈上〉 (文春文庫)" (大沢 在昌) "ニッポン泥棒 下 (2) (文春文庫 お 32-6)" (大沢 在昌) この作品も単行本で一度読んでいる作品なので5年ぶりに再会したことになる。コンピュータやハッキングを題材としたSFタッチな作品だが、今読んでみても…

バーカウンターで飲みながら 『亡命者 ザ・ジョーカー』 大沢在昌

"亡命者 ザ・ジョーカー (講談社文庫)" (大沢 在昌) 『ジョーカー』100万の着手金で危険を顧みずトラブルを解決するプロフェッショナル。六本木のバーを事務所代わりにして仕事を受ける。黒社会の幹部であればその名は知られ、駆け出しには無名、それがプロ…

『氷の世界』もう一つの楽しみ方 『氷の世界―シナリオ集』 野沢尚

"氷の世界―シナリオ集〈3〉 (幻冬舎文庫)" (野沢 尚) 『氷の世界』の後半はシナリオ集と対比させながらドラマを見てみた。シナリオといっても台本とは違うのでセリフは微妙に違う。そして、セリフの前に書かれたカッコ書きの部分が重要な役割を果たしている…

何度も共感しながらあっという間に読み切った 『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ』 成毛眞

"実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)" (成毛 眞) この本はいつもお世話になっている『本が好き!』のレビューを見て買ったんだと思う(またいつものように買ってから暫く熟成させていた)。速読術をはじめ、本の読み方について…

家庭の医学と一緒で、家庭に一冊あってもいいんじゃない? 『カビを防いで快適生活』 吉田政司

"カビを防いで快適生活" (吉田 政司) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 そろそろ年末の大掃除の計画を考えている人も多い頃だろう。普段、手を入れられない場所を入念に掃除をしたい、と考えているはず。中でも浴室のカビ対策などは普段から…

エンターテイメント性とフィロソフィの融合 『魔物』 大沢在昌

"魔物(上) (角川文庫)" (大沢 在昌) "魔物(下) (角川文庫)" (大沢 在昌) 『魔物』というタイトルはなんとも古風というか、普段使わない言葉だからこそ不安を感じさせる響きがある。単行本は2007年11月に出ているので、3年経過しての文庫化は標準的なスケ…

命がけの占い勝負! 『VICE-ヴァイス- 孤独な予言者』 酒井日香

"VICE-ヴァイス- 孤独な予言者" (酒井 日香) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 TVはもちろん新聞や雑誌、ネットも含めて外せないコンテンツは『占い』だろう。朝の情報番組からJRのトレインチャンネルまで巷には占いが溢れている。そして新宿…

楽しませていただきました! 『往復書簡』リアル読書会

この間レビューを書いた湊かなえさんの『往復書簡』を題材とした読書会に参加した。主催はいつもお世話になっている『本が好き!』で、今回はオフィスでの読書会だったのでそちらも楽しみにしていた。読書会そのものは前の会社でもやったことがあったけど、…

緊張感を感じながら、心の揺らぎを感じながら 『往復書簡』 湊かなえ

"往復書簡" (湊 かなえ) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 『告白』で大きな話題になり、以降の創作活動にプレッシャーがかかる中、この『往復書簡』は全くそれらを感じさせず、そして新しいアプローチで期待を裏切ってくれた。多くの人が『…

良質な作品は『普段使い』に耐えられる 『正義を測れ』 小杉建治

"正義を測れ (光文社文庫)" (小杉 健治) 本書は過去に単行本を読んでいるので読むのは2回目になる(なぜかブログには残していない)。電車の中でiPhoneにてニュースを読んでいる時に『土地家屋調査士』という言葉を見つけ、「そういえば過去に読んだな」とい…

ジーンズをかっこよく着こなしたくなったら 『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』 山本ケイイチ

"仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか (幻冬舎新書)" (山本ケイイチ) 本書もかなり寝かせていた本である。少なくとも1年以上は僕の本棚の中で静かに読まれるタイミングを待ち続けていた。きっかけは元大手コンサルティングファームのパートナーとの再会。…

これはマティーニじゃなくてコーヒーの香りを楽しみながら 『文房具を買いに』 片岡義男

"文房具を買いに (角川文庫)" (片岡 義男) 『本が好き!』のレビューで@hamachobiさんのレビューを見て買ってみた。著者の片岡義男の作品は中学、高校時代にはそれこそ貪るように読んでいた。当時、多くの書店の文庫本の棚は角川文庫でかなりのスペースを占…

裏付けがない論理を展開されても・・・ 『MBAで学ぶ 負けない戦略思考「ゲーム理論」入門』 若菜力人

"MBAで学ぶ 負けない戦略思考「ゲーム理論」入門 (フォレスト2545新書)" (若菜力人) 『「ゲーム理論」入門』と書いてあるわりにはゲーム理論に関して理解を促すような記載はありません。またいくつも例を挙げていますが、その裏付けとなる事実を論理的に表現…

大失敗でした 『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』 美崎栄一郎

もっとうまいノートの取り方があるんじゃないか、という気持ちは多くの人が抱える悩みのひとつじゃないだろうか。ノートそのもの(サイズや種類)ではなく、『何を』、『どんな形式で』で記録するのがいいのか、試行錯誤する。僕だけじゃない証拠として、雑…

推理しながら恋愛小説を読んでみませんか 『蒼林堂古書店へようこそ』 乾くるみ

"蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫)" (乾 くるみ) なんでこの本を手にしたんだろう。表紙の写真、帯のコメントか、う〜ん、思い出せないけど何か惹かれるものがあって買ったんだろう。実はこの本を購入した後に『イニシエーション・ラブ』を買って、先にそ…

ポップなミステリーはいかが? 『上手に人を殺すには』 マーガレット・デュマス

"上手に人を殺すには (創元推理文庫)" (マーガレット・デュマス) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 普段、ポップなミステリーを読まないけど(あまり面白いと思わないので)これは違った。トリックで魅了するのではなく、登場人物のキャラの…

必要な本は必要な時にやってくる 『ザ・チョイス』 エリヤフ・ゴールドラット

"ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな!" (エリヤフ・ゴールドラット) 『ザ・ゴール』に始まるゴールドラット氏の本はすべて読んでいる。この『ザ・チョイス』も第1版だから発売当初に購入して、約2年間寝かせていたことになる。このあいだ整理したら、50冊ぐ…

いろいろ勉強になった一冊 『街場のメディア論』 内田樹

"街場のメディア論 (光文社新書)" (内田 樹) ブックファーストの遠藤店長のブログに反応して、営業が進んでいる本を別にしてその他のものを『塩漬け』にすると発表した内田樹氏の本はずっと気にはなっていた。書店でもよく見かける著者名だし、平積みの山は…

真実は語尾に宿る 『インタビュー術!』 永江朗

"インタビュー術! (講談社現代新書)" (永江 朗) 『インタビュー術!』は随分と前に読んでいてブログに書いているつもりでいたんだけどどうも気のせいだったようだ。まあ、いつも通り、気になったところには付箋をしているので改めて付箋の前後を読み返して…

今だからこそ必要なもの 『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』 ダニエル・ピンク

"ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代" (ダニエル・ピンク) 物事には順番がある。本にも同じことで言える。そう『モチベーション3.0』を買ったものの、その前にこの本『ハイ・コンセプト』を読むべきだろう、と思い、『モチベーション3.0』を…

知らぬ間に意識改革をさせられていたんだ 『なぜうつ病の人が増えたのか』 冨高辰一郎

"なぜうつ病の人が増えたのか (幻冬舎ルネッサンス新書)" (冨高 辰一郎) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 献本をを申し込んだ時、正直に申し上げてあまり期待していなかった。しかし、本書の『はじめに』を読んだ瞬間に予想していたものと内…

『虚』で現実を表現する 『ベーコン』 井上荒野

"ベーコン (集英社文庫)" (井上荒野) 僕は新聞、雑誌、中吊りなどで気になる本を見つけると『Evernote』の『Candidate』というノートにメモするようにしている。本書『ベーコン』は随分と前にメモした一冊で、食べ物繋がりで紹介されていたものだったと思う…

『生きてる』って感じるのは必ずしも安泰との時とは限らない 『流れ星の冬』 大沢在昌

"流れ星の冬 (双葉文庫)" (大沢 在昌) 珍しいことに大沢作品が二日連続になった。 もう10年以上に渡って大沢作品を読んでいるので読んでいない作品は数えるほどしかない。その中の一つがこの『流れ星の冬』だった。新宿鮫のようにシリーズになっているわけで…