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前半/後半でテイストが変わり、夢と現実がクロスオーバーする 『影絵の騎士』 大沢在昌

"影絵の騎士 (集英社文庫)" (大沢 在昌) 過去のエントリーを読んでみると意外とポイントがまとまっていてビックリ(笑)。ちょうど2年半前振りに同じ本を読んだことになる(今回は文庫版だけど)。たった2年半とはいえ、日本でもiPhoneがリリースされ、TVが…

ファージング最終作は感動の結末 『バッキンガムの光芒 (ファージングIII)』 ジョー・ウォルトン

"バッキンガムの光芒 (ファージングⅢ) (創元推理文庫)" (ジョー・ウォルトン) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 ファージング三部作を読み終えて作品としての素晴らしさとラストシーンが期待以上だったことに満足感で一杯である。今回も前作…

これは恋愛小説ですね 『虚栄の肖像』 北森鴻

"虚栄の肖像 (文春文庫)" (北森 鴻) 過去に単行本で一度読んでいるので、その時のエントリーを読み返してみた。そこにはこう書いてある。 花師と絵画修復師という二つの「表の顔」を持ち、過去の呪縛による苦悩に満ちた佐月恭壱の活躍をしばし待とう。 しか…

ファージング第二弾はスケールも深さもパワーアップしている 『暗殺のハムレット (ファージングII)』 ジョー・ウォルトン

"暗殺のハムレット (ファージング�) (創元推理文庫)" (ジョー・ウォルトン) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 本書は『ファージング三部作』の第二弾で、前作を凌ぐ面白さとスケール感で展開されている。主人公の目線で語られる手法は継承さ…

かつてのグルーヴ感がないじゃないか 『ボーダー 』垣根涼介

"ボーダー―ヒートアイランド〈4〉" (垣根 涼介) 『垣根涼介、どうしたんだ?』が読み終わった時に感じた最初の感想。クルマやバイクを表現する時の独特の言い回し、細部を説明するこだわりがなく、全く精彩に欠く作品になってしまっている。『ヒートアイラン…

多くの人に読んでもらいたい、そんな作品 『そうか、もう君はいないのか』 城山三郎

"そうか、もう君はいないのか (新潮文庫)" (城山 三郎) 正直、別の城山三郎が書いた文章だと思った。いつものちょっと硬めの文章の中に『芯』あるいは『主張』を織り交ぜながら書かれる城山調とは全く違う、『素』をさらけ出したような文章になっている。そ…

iPhone x iPadの能力を引き出すには

この文章を書くために2回アプリがクラッシュして内容は失われ、毎回違う内容になっているけど3度目の挑戦はうまくいくことを期待したい(ちなみに今回も3度クラッシュした)。 昨日書いた『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』の存在を知ったのはTwitterのTL…

iPadユーザの課題図書 『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』 倉園佳三

"iPhone×iPad クリエイティブ仕事術 本当に知りたかった厳選アプリ&クラウド連携テクニック" (倉園佳三) 本書の価値は『iPhone x iPad』の観点で書かれている点に尽きる。現時点での多くのiPadユーザは既にiPhoneを持っているだろう。そして、iPhoneとiPad…

事実は小説より奇なり、とはこのことか 『マネーロンダリング入門』 橘玲

"マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)" (橘 玲) 僕が最初にマネーロンダリングという言葉に触れたのは1994年だった。当時の仕事で会社で最初の支店(仙台)を作る準備をしていて、それと同時に直営の美容室やエステサロン開設…

思い出が今ここに復活! 『西風SPECIAL SELECTION Gtroman完全版 vol.1』 西風

この本は『本が好き!』から献本いただきました。 僕の手元には初期の『GT roman』全11巻がある。後から大人買いしたものではなく、当時(昭和の終わりから平成の初期)購入したものを今もベッド脇に置いて時々読んでいる。20年以上前の単行本であり、僕の中…

詰めが甘く、散漫な文章になっている 『レッドスカイ』 ジョセフ・リー

"レッドスカイ (幻冬舎文庫)" (ジョセフ リー) この作品は初めての作家だったけど帯買いしました。結論は残念ながらイマイチでした。雰囲気は真山仁氏の作品のようなタッチなんだけど、プロットが散漫で話の流れが収斂していかない。 JALのような、体質が弱…

高い完成度 x さわやかさ = 新・雫井ワールド 『ビター・ブラッド』 雫井脩介

"ビター・ブラッド (幻冬舎文庫)" (雫井 脩介) 実はこの作品を読むのは3度目です。それでも全く読み飛ばさずに最後まで読んだぐらいなので非常に良くできた作品だと思う。『犯人に告ぐ』や『クローズド・ノート』の作者でもある雫井脩介氏の作品だけど書き方…

現実を直視して、対策を施す 『手作り弁当を食べてる場合ですよ 格差社会を生き抜く処方箋』 日垣隆

"手作り弁当を食べてる場合ですよ 格差社会を生き抜く処方箋 (角川oneテーマ21)" (日垣 隆) 最近、僕の中のマイブーム『日垣本』(僕の中で勝手にそう読んでいる)の最新新書がこの本。日垣氏のアウトプットは『質』も『量』も本当に感心させられる。どの本…

蓄積した知識を存分に使って楽しんでほしい 『英雄たちの朝 (ファージングI)』 ジョー・ウォルトン

"英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)" (ジョー・ウォルトン) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 もしあなたがこれまでに相当数の本を読んできて、更に学校の勉強以外にも興味の対象がたさくあり、気になったら調べずにはいられない…

完遂することが仕事で成功する秘訣か 『ウェルチにNOを突きつけた現場主義の経営学』 千葉三樹

"ウェルチにNOを突きつけた現場主義の経営学 (光文社新書)" (千葉 三樹) この本はその存在すら知らなくて、いつもお世話になっている『本が好き!』の風竜胆さんの書評を読んで興味を持ち、早速読んでみた。 著者でもあり、この本の主人公 千葉三樹氏は僕の…

電子書籍としての『歌うクジラ』を考えてみる

今回のエントリーは『歌うクジラ』の内容に関しては全く言及していない。電子書籍の作品としての感想だけを書いてみる。 関連:村上龍 歌うクジラ on WEB 今年はあちこちで『電子書籍元年』という言葉を見かける。AppleがiPadをリリースし、プラスしてiBooks…

数学的な思考を導き出してみる 『花の下にて春死なむ』 北森鴻

"花の下にて春死なむ (講談社文庫)" (北森 鴻) 北森鴻を最初に読んだのはこの『花の下にて春死なむ』。友人に柴田よしきを薦めた後に、それならば・・・と薦められたのが北森鴻だった。実際にこの『花の下にて春死なむ』から始まる香菜里屋シリーズはかなり…

Twitterで悩んでいるなら読んだ方が早い 『Twitter使いこなし術 パワーユーザー100人の「技」を公開』 根岸智幸

"Twitter使いこなし術 パワーユーザー100人の「技」を公開 (アスキー新書)" (根岸 智幸) いつもお世話になっている『本が好き!』の中の人、根岸さんの本なので手にとってみました。Twitter本は何冊か読んでいるけど、特にITやWebデザインには関係ない世界で…

今まで読んでいなかったことが悔やまれる 『情報の「目利き」になる!―メディア・リテラシーを高めるQ&A』 日垣隆

"情報の「目利き」になる!―メディア・リテラシーを高めるQ&A (ちくま新書)" (日垣 隆) 日垣さんの本は何冊か読んでいて、尊敬する書き手の一人なんだけど本書は中でも秀逸。編集の仕事、マーケティングの仕事に携わっている人だけじゃなく、もっと幅広い層の…

是非、数学が苦手だった人にも読んでもらいたい 『数学でつまずくのはなぜか』 小島寛之

"数学でつまずくのはなぜか (講談社現代新書)" (小島 寛之) 近頃、『算数』とか『数学』という単語に弱く、ついつい手にとって買ってしまう。別に数学にコンプレックスがあるわけでもなく、逆に算数、数学とも得意な方だったので本書のタイトルは正直あまり…

100冊のミステリーよりも面白い 『刑事眼―伝説の刑事の事件簿』 三沢明彦

"刑事眼―伝説の刑事の事件簿" (三沢 明彦) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 一言でいえば、ミステリー小説100冊読むよりも圧倒的に面白い。著者の文章力に支えらている部分も多いが、それ以上に登場する元警察官の人間臭さ、純朴で真っ直ぐ…

親子って、家族ってなんだろう 『星がひとつほしいとの祈り』 原田マハ

"星がひとつほしいとの祈り" (原田 マハ) 原田マハの最新刊は親子や家族について考えさせられる7つのお話。そのどれもが読み終わった時に立ち止まって振り返ってしまう。まるで、もう一度自分の心の中にしみこんでいくように。 原田マハの作品は毎回新しい分…

シチュエーションで感じるものが違う 『読むだけでたくさん「奇跡」が起こる本』 吉元由美

"読むだけでたくさん「奇跡」が起こる本 (知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ)" (吉元 由美) 僕の中で吉元由美は作家というよりも作詞家、特に杏里とのコンビネーションが一番だと思っている。彼女の詞は単純じゃなく、いろいろなイメージが想像できる。…

やさしそうに見えて実は相当難しい文章 『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ

"イニシエーション・ラブ (文春文庫)" (乾 くるみ) 乾くるみをGoogleで検索するとこの『イニシエーション・ラブ』の・・・という説明ばかりだったので、先に『イニシエーション・ラブ』を読むことにした。やっぱり、こういう順番って大事だよね。 さて、誰に…

復讐の連鎖を断ち切る 『求愛』 柴田よしき

"求愛 (徳間文庫)" (柴田 よしき) 私立探偵の友人や知り合いがいないので本当のことは分からないが、小説の世界ではなく現実の探偵業というのはこの作品に出てくるようなことがほとんどなのかも知れない。そういう意味では作品を楽しむ、という本来のテーマ…

プライドってなんだろう 『Kの日々』 大沢在昌

"Kの日々 (双葉文庫)" (大沢 在昌) 大沢氏は原稿を手書きで書いているので主人公の名前の画数が多いと結構大変だ、という話をインタビュー記事か講演で聞いた(読んだ)ことがある。ちょうどその時期に執筆していたのがこの『Kの日々』で、主人公の『木』は…

悪魔のような作品かも知れない 『ダーティ・ワーク』 絲山秋子

"ダーティ・ワーク (集英社文庫) (集英社文庫 い 66-1)" (絲山 秋子) 絲山秋子氏の作品はこれが初めて。何で買ったんだろう、と今でもきっかけが思い出せない。装丁でもなく、帯買いでもない、でも無意識の中で手にとってレジに並んだわけである。読み終わっ…

『品』を感じる藤原伊織の最後の作品 『名残り火 てのひらの闇II』 藤原伊織

"名残り火―てのひらの闇〈2〉 (文春文庫)" (藤原 伊織) 『文章の品格』というものがあるならば、藤原伊織の文章はまさに別格の域である。豊富な語彙や多様な言い回しができる、ということではなく、登場人物を色付けする言葉遣いには知識だけではなく、経験…

この本を読んでも自信はつくれない 『一生折れない自信のつくり方』 青木仁志

"一生折れない自信のつくり方" (青木仁志) この本は『本が好き!』から献本いただきました。 正直言って期待値ほどじゃなかった。決して内容が良くない訳じゃなく、この本を手にするだろうって人をイメージすると具体的じゃないのであまり意味がないかも知れ…

整理されていることに価値がある 『iPhone仕事便利帳』山崎 潤一郎, 鈴木 麻里子, 竹田 真

"iPhone仕事便利帳―1台を使い倒す300の活用法" (山崎 潤一郎, 鈴木 麻里子, 竹田 真) 考えてみるとiPhoneは1年半以上使っていることになる。それもほぼ毎日、充電しないと一日保たないことを考えるとすごい利用率になる。『無くなると困るか』と聞かれれば、…