2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「帯に偽りなし」だった 『楽園のカンヴァス』 原田マハ

"楽園のカンヴァス" (原田 マハ) 手元にある第5刷の帯には絶賛の言葉が並べられている。「今年度のベスト級」や「こんな絵画ミステリーは初めてだ!」と美辞麗句のオンパレード。この本を読み終わった今の気持ちは、「これらの言葉に偽りはない」と。 著者の…

ただの復帰作じゃない、スケールアップして帰ってきた 『張り込み姫: 君たちに明日はない3』 垣根涼介

"張り込み姫: 君たちに明日はない3 (新潮文庫)" (垣根 涼介) まずこの本を読む人は先に既刊の垣根作品である『君たちに明日はない』と『借金取りの王子』を読んでから読み始めて欲しい。過去の作品の登場人物が今回の作品に登場することもあるが、それ以上…

これが本当の垣根涼介かも知れない 『人生教習所』 垣根涼介

"人生教習所 (2011-09-30T00:00:00.000)" (垣根 涼介) 垣根諒介の作品には作品の面白さだけではなく、作品に埋め込まれた彼の哲学がある。 それは彼が旅行代理店時代に多くの国々を見てきたことで、客観的な目線でこの日本を見て感じたことを彼が綴る言葉で…

究極の秘密主義が生み出すAppleという組織 『インサイド・アップル』 アダム・ラシンスキー

"インサイド・アップル" (アダム・ラシンスキー) Appleの製品やスティーブ・ジョブズについて書かれた書籍や文章はたくさんあるが、Appleという組織について情報はほとんど目にしたことがない。表面的に判断できる株式の時価総額を除けば、ジョブズの言葉以…

メールだからこそ気持ちが揺らぐころもある 『北風の吹く夜には』 ダニエル・グラッタウアー

"北風の吹く夜には" (ダニエル グラッタウアー) この書籍は『本が好き!』から献本いただきました。 メールで感情を伝えるのは難しいよね。特に恋愛感情は。キーボードから叩きながらたくさんの形容詞を駆使しても心の微妙なニュアンスはなかなか表現できな…