作品を見ながらインスパイアされて自然とシャッターを押してた『七澤菜波 墨象展「爛-RAN」ー朽ちてゆく花は妖艶なりー』


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個展会場の入口に立ち、鮮やかな花を目の当たりにすると彼女らしい雰囲気が立ちこめていた。作品を一通り見て、もう一度その場所に立った時の僕の印象はこんな感じだった。色が抜けているんじゃなくて、自分の心の色を重ねる余地を残しながら作品としては完成している、そんな気がした。


今回のテーマになっている「爛-RAN」を彼女の言葉で表現すると、



ひとつの漢字で、“光り輝く”という意味と“ただれる。くさる”という


両極端の意味があります。


以前から、朽ちてゆく花の姿に惹かれていたので、


朽ちてゆくものの美しさを表現したいと思いました。


となる。とても短い時間で華やかさは枯れ、しかしそれぞれが持つ美しさは琴線を揺るがす。そんな作品たちを見ていると、自然と自分心の気持ちもインスパイアされ、ファインダーから見える景色もいつもと違って見える。普段は人の表情にしか触発されないのに、今日は不思議と「こう切り取りたい」という気持ちが生まれていた。


 


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自然の「生」と作られた「生」、「色があるもの」と「墨の色だけのもの」。その場で両方を交互に見ていると、どっちがどっちかわからなくなる。気持ちの中で時間軸のレバーを未来に動かしてみると、本当は逆なんじゃないのか、と感じる。


 


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一番「好き」って気持ちになった作品。彼女は「一番難しかった」と笑っていたけど、儚さの中にも力強さを感じた一枚だった。元の写真は作品全体を押さえているんだけど、あえて作品の一部が欠けるようにトリミングしてみた。これだけで文字の力強さが増した感じがする。


 


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せっかく並べて展示しているのであれば、並べた視点で見るべきだろう。人間の目ってなかなかそういう風に見ることができないけど、ファインダー越しなら意外と簡単にできるものだ。制約条件が作品と作品の間の空間を上手に埋めてくれて、まるで4つで一つの作品と個々の作品の両方の価値を同時に作ってくれる。


 


あらあら、気づいたら勝手に好き放題書いている感じだ。


今、友人の七澤菜波さんの個展が「フォーシーズンスホテル 椿山荘 東京 アートギャラリー」で開催されています。写真や絵よりも柔らかく感じられるのではないかな。もし何かを感じたらポストカードにひと言書いて投函する、そんな非日常なことをしても面白いかも。心が震えたら、ホテルのラウンジでひとときを過ごしながら言葉を綴ってもいいのでは。きっと万年筆が似合いますよ。


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Nanami Nanasawa Exhibition 2012


七澤菜波 墨象展


「爛-RAN」ー朽ちてゆく花は妖艶なりー


 


9月27日(木)〜10月8日(月)


10:30-18:30


フォーシーズンスホテル 椿山荘 東京 アートギャラリー