結局、オリンピックって誰のためなんだろう

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冬季オリンピックも終わり世の中も少し落ち着き始めたので1度ぐらいはオリンピックネタで書いておこう。以前に村上龍氏は『冬季オリンピックは金持ち国だけのイベント』と書いていたように、どの種目もお金がかかるものであることは誰の目から見ても明らかだと思う。道具にそれほど費用がかからないものであっても施設やその施設の維持には莫大なコストがかかる。実は道具も想像しているよりもかかっているかも知れない。以前に前回のトリノオリンピックアイスダンス代表で出場した木戸さんに聞いた時、比較的安い方の衣装で$1000っていっていたから、衣装だけでも見た目で考えているよりもコストがかかっている。実際に大量生産されたものを使っているわけではないので当たり前ではあるけど。

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スキーにしてもスケートにしても施設を維持していていくには相当なコストがかかるだろう、と予想することも難しくない。分かりやすくいえば、東京近郊で利用可能なスケートリンクは本当に限られているし、僕の地元の方でもかつてあったスケート場はすべて無くなっている。つまり、維持していくにはある程度のまとまった利用者が安定的に利用してくれないと維持できないくらいにコスト高ということだ。


 

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オリンピックそのものは国別対抗戦なので、その国の代表として出場し、メディアでは対抗国との比較をベースに報道される。キム・ヨナ浅田真央もそう。本人たちがどう思っているかは別にしてメディアの切り口は日韓対決になっている。彼女たちは年齢も同じということもあって格好のターゲットになっている。僕はスケートに関して明るくないので、うちの奥さんに聞いてみると『金メダルを獲りにいくための演技をするのか、自分らしさを追求するための演技をするのかじゃないの。真央ちゃんは自分らしらを求めたんだと思うし』というコメントだった。確かに素人目にも曲調も含めて気持ちが前のめりになるのはキム・ヨナの『007』の方だ。きっと幼い頃からの犠牲を払ってこれまで練習を積んできた二人にとってオリンピックの晴れ舞台で最高位を獲ることは紛れもなく目標にしていたことだろうし、誰よりも強く思っていたことだと思う。ただ、『どう獲るか』の考え方や価値観が違っていて、結果はキム・ヨナが金で浅田真央が銀となったわけである。試合後のコメントも本当の彼女たちの気持ちはわからないし、いつかすべてのしがらみが無くなった時にしか事実は語られないと思う。コーチも練習地も海外で強化されることが多いスケートなどを考えると『国』別と考える必要性もあまり感じなくなっている自分がいる。他の人はどう思っているのだろうか。