勝算はどこに? ケンタッキーの宅配サービス

実家に寄ったときにケンタッキーフライドチキンの宅配サービスのチラシを見てちょっと疑問に思った。売上ではなく、収益性を考えた場合に有効な施策かどうか疑問に感じたからです。
かつては『寿司屋』、『蕎麦屋』などが『店屋もの』として宅配サービスのイメージだったが、今ではそのイメージの中心を成しているのは『ピザ』だろう。駅前など集客力が高い場所ではなく、いわゆる住宅街(あるいは自宅+店舗のような)での立地の場合、店舗への集客だけでは大きな収益を期待できず、やはり『店屋もの』での宅配サービスにて売上、収益を大きくする方法が一般的だろう。これはオーナーの考え方次第であるが、市場で認められるのであれば、宅配サービスのコストを含めた価格設定をすることでそのコストは吸収することができる。更にピザの場合には宅配前提のビジネスモデルであるため、価格の大きな部分を宅配サービスのコストで成り立っている。宅配前提であるために、店舗での飲食スペース、設備を用意する必要もなく、設備投資を抑えると共に、宅配ではなくテイクアウトの場合には非常に価格を下げてピザの提供をしている。
near Noda, , Japan
ケンタッキーフライドチキンの場合には、大きく分けると『駅周辺』型、『幹線道路』型、『テナント(ショッピングモールなど)』型に分けられ、来店が基本である。当然、飲食スペースが用意されており、『幹線道路』型にはドライブスルーの機能もある。今回の宅配サービスはこの『幹線道路』型店舗が中心になるのだろう。
ここで考えなければいけないのは、宅配サービスをするためには宅配するための

  • デリバリー手段として、車あるいはバイク
  • 車あるいはバイクの運転をするためのレイバー

が必要になる。プラスで、宅配に掛かる時間のコストが必要になる。具体的にいうと、

1日1件、2000円の宅配サービスオーダーが入る
レイバーコストは900円/時間
宅配サービスのためにプラスしなければならないレイバー係数を0.2とする
この場合ケースで1ヶ月の収益を考えると
売上:
2,000円 x 30日 → 60,000円
3割が粗利だとすると、粗利:18,000円
コスト:
バイク 137円 x 30日 → 4,110円(10万円を2年償却として計算した場合、137円/日)
レイバーコスト 900円/時間 x 12時間 x 30日 x 0.2 → 64,800円
(宅配している時間要素だけを考えても、900円/時間 x 0.5時間 x 30日 → 13,500円)
その他にバイクの保険、燃料費などが発生。

こう考えると、小学生でもうまくいかないことは目に見えている。仮にオーダー数が増えれば売上も粗利も増えるけど、レイバーコストも増えてくるのでオーダー数だけでは収益改善にはならない。どうやってビジネスにしようとしているのか本当に不思議である。