「一勝九敗」 柳井正

一勝九敗

一勝九敗

今更ながら読んでみました。若干、今のユニクロと比べると変化してしまっているところがあるが(食品のSkipなど)、全体を通して柳井氏の理念やユニクロの思い、立ち位置が正直に描かれていて、結構、付箋を付けながら読み進めていた。
改めて感じた事実としては、柳井氏のユニクロに対する思いは値段よりも品質の方にウエイトを置いていること。これは吉野家の同じで、イメージとしては価格先行に感じるが高品質(吉野家の場合は高サービス)をどう大衆価格で提供出来るかにチャレンジし続けている。だから失敗も多いのだろう。ただし、失敗を失敗にしない、それも感覚だけで総括するのではなく、事実として捉え、次に必ず活かす意識が非常に高いことが文章からも伝わってくる。
ユニクロに興味が無くても、たとえ経営者でなくても感じ、得られる部分は多く、今となってもお勧め。
いくつか気になった文章を残しておきたい。

広告代理店の機能を使う

日本の広告代理店の力はよくわかっているつもりだ。しかし丸ごと任せてもわれわれが思っているようなCFはできない。広告は広告主がやるもので、クリエイターや広告代理店がやるものではない。広告主が自分たちで企画をして作り、一つの機能としてクリエイターや広告宣伝会社を使うという方式でないとうまくいかない。

店長は会社の主役だ

単なる肉体労働ばかりやっていて自分の頭を使わなければ、いつまでも年収三百万円、よくて五百〜六百万円ぐらいまでにしかならない。当社の店長とは、知識労働者だと考えている。店長を「店舗という場所で、自分たちの力で付加価値をつけていく人」と定義すれば、三千万円の年収は可能だ。

会社を経営するうえで一番重要なのは「どういう会社にしたいのか」と、「どういう人たちと一緒に仕事をしたいのか」を明確に示すことだと思う。