ユーザと向き合うマーケティング


昨日の続きってわけじゃないけど、『THE WALL STREET JOURNAL』にこれからの新聞のあり方のヒントに思える部分があったので書いておきます。


 

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通常の新聞記事は記者が取材をして記事として掲載するものです。が、『THE WALL STREET JOURNAL』はネットの良さを利用する方法として『コメント』の機能を採用しています。もちろん、これまでの紙のメディアでも読者が参加できる『投書』コーナーなどはあったけど時間軸が違います。実際のこの記事は日本の熊野古道について書かれているんだけど、後半に仏教は『China』から伝来した、と書かれていて、それを読んだ読者が『China』ではなく『Korea』(Kudara)と違いを言及しています。間違いを指摘されて記事そのものは変更されていないけど、言及したコメントはそのまま残っており、新聞記事もソーシャル化されている。


僕が思うこれからの新聞のあり方は、これまでのプロの記者による記事(発行元のフィルターを通過することで記事に対する裏付けが担保されている)と読者の視点による記事(利用者の価値観やユーザ代表といったフィルター)の共存、融合だと考えている。この『THE WALL STREET JOURNAL』の形は今後、新聞というメディアがメディアとしての価値を残していけるかどうかの試金石になると思う。記事をオープンなソーシャルメディアに流す、クリップする、そして元ソースとは違う場所で言及するのではなく、同じ場所で言及できる、これは大きな意味を持っている。


 


一方、日本ではこんか記事を見かけた。



ロマンスカー、写真公募

来年用カレンダーに


 小田急電鉄は2011年用の「小田急ロマンスカーカレンダー」に使う写真を一般から募集している。


 


 2回目の今年は「時代を彩るロマンスカー」がテーマで、同社は、「“撮り鉄”の方々も大歓迎。季節感にあふれる様々なロマンスカーの写真を送ってほしい」としている。


 


 同社では昨年、「プロのカメラマンとは違った視点で撮影する鉄道やロマンスカーの好きな人」を対象にカレンダー用の写真を募集したところ、約730作品が集まった。


 


 現在、ロマンスカーは青色基調のMSE(60000形)など6種類だが、募集する写真は、現役車両だけでなく、引退車両を撮影した過去の写真も含む。


 


 最優秀賞1作品と優秀賞12作品を選び、来年用のカレンダーに掲載する。 応募者本人が撮影した未発表作品でフィルム、デジタル、カラー・モノクロは問わない。小田急線各駅に置いてある用紙で応募する。8月22日消印有効。問い合わせは、事務局(03・3237・4128)へ。


(2010年07月08日  読売新聞)


 


まあ、僕が小田急線利用者ということもあるけど、プロではなく一般の人の写真をカレンダーにして商品化するアイデアは『発表の機会/場』という観点からも鉄道会社への『ロイヤリティアップ』の面からも非常に興味深いアプローチである。


 


どちらも『囲い込み』(実際には囲い込めないんだけど)というこれまでのマーケティングからユーザ参加型のマーケティングに踏み込んでいると思う。あとは、ユーザと向き合った後にどうするかの策がないとマイナス効果に成りかねないの要注意。努力してデートまではうまくいったけど、何も会話が生まれずフラレるようなことは回避したいものである。