すみません、面白すぎてレビューで中身まで書けませんでした 『テレビは余命7年』 指南役




"テレビは余命7年" (指南役)


 


この書籍は『本が好き!』から献本いただきました。


 



そう、共感。作り手が志を持って、本気で取り組んだものは、必ずや視聴者の心に届く。


視聴率より志。いや、志のある作品は、そのうち視聴率もついてくる。今はソーシャルメディアの時代。評判のいい作品は、必ず人々の耳に伝わる。


これがこの本の根底に流れる考え方だろう。タイトルは若干ショッキングでインパクトを与える、キャッチーなタイトルになっているけど中身は本当にマジメにテレビ業界を言及している。


 


ちょうど僕らの世代はテレビと一緒に成長してきた世代だろう。物心ついた時には家にテレビがあり、テレビというハードウェアの進化と番組というコンテンツの進化がリンクして、テレビの情報が世論を作るといっても過言ではない時代を経験してきている。そんなテレビは映画を斜陽産業に追いやり、自身はメディアの王に君臨した後、今は逆にインターネット上のサービスに追いやられる羽目になっている。波乱万丈な生き方(?)だけど、YouTubeでついついはまるのは昔のテレビ番組だったり、はたまた古いCMだったりとその影響力は今でも根強いものがあると思う。


と、テレビ論の話じゃないんだ。そうそう、この本の話ね。


 


著者というか本書を書いている「指南役」というのはペンネームというよりもチームの名前で草場、津田、小田の3人。過去にも指南役の著書を読んでいるけど、文章は笑いと取りながらも非常にマジメに書かれているのが特徴。裏付けや確認作業などかなり地味な作業をしているはずなのに、「ドヤッ!」って感じは全くなく、淡々と書いている。ちなみにテレビ、テレビ業界、歴史、その裏側などのアウトラインをキャッチアップするなら本書を超えるのは難しい、ってぐらいよくまとめられている。広い意味で広告や企画の仕事に携わっている人であれば間違いなく読む価値がある、いや、絶対に読んでおいた方がいい。


 


よく言われる良書の特徴は、「はじめに」や「序章」が面白い本は内容も面白い、と。本書は「プロローグ」で



「テレビの終わり」の始まり


ってスタートする。そしてこう書いている。



この本は、衰退へ向かいつつあるテレビというメディアに、非常にもその余命を”宣言"した本である。


かなり挑戦的な語り口調。でも、読んだら分かります。決して批判的ではなく、愛情たっぷり、テレビが好きだからこそ余生(?)をどうすべきかを提言している。


じゃ、なぜ「7年」と具体的な時期を切っているのか。都市銀行の一つだった北海道拓殖銀行の倒産は「不動産取引の総量規制」から7年後。話は違うけど、「不動産取引の総量規制」絡みは映画の「バブルへGo!」を観るといいですよ(この映画の企画にも指南役は関与しています)。そして、ペリーの黒船来航から井伊直弼暗殺までが7年。


どうです、興味をひかれませんか?




"バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スタンダード・エディション [DVD]" (馬場康夫)


 


本当の内容に入る前にこんなに書いちゃったよ。実はいっぱい付箋を貼って、書きたいことが山のようにあったのに・・・。じゃ、一つだけ。


「リモコンと視聴率至上主義」という部分が僕には刺さった内容で、「視聴率」中でも「毎分視聴率」が諸悪の元凶と説く。リモコンによってザッピング(チャンネルを切り替えて飛ばしていく行為ね)が増えた。要はその場にいながらチャンネルを変えられるので、CMのタイミングなどはチャンネルを切り替えられる絶好のタイミング。それを回避するために生まれたのが、「CMまたぎ」。いいところでCMになり、CM明けにCM前の復習のようなシーンが流れて、ようやく本題に入る(でもほとんどは大した内容ではない)。これも対毎分視聴率という指標があるがためにあみ出された技なのである。そして、その技はエスカレートし、テロップ、煽り、笑い声と盛り上げる手段の連続技というかオンパレード。でも、テレビのこちら側には冷めた視聴者しかいないという現実。


 


こんな内容が250ページ続く。


しかし、僕のレビューはここで終わるので、残りの部分は皆さんが実際に体験してください。