「おいしい水」 原田マハ

おいしい水 (Coffee Books)

おいしい水 (Coffee Books)

僕の中では星が5つ付くぐらいに良かった。でも他の人も同じように感じるかは責任が持てない。この物語が「良い」と感じるには大阪・神戸エリアの土地勘があること、携帯電話などが無い時代に恋愛したことがあること、田中康夫の「なんとなくクリスタル」を良い作品と思っていること、ジャズやボサノバに興味があること・・・と条件はあるが、全部とは言わないまでも結構クリアした人には僕が感じたことが分かるでしょう。
僕自身、関西に住んだことはないけど、結構な回数の出張のお陰で、梅田も三宮も元町も西宮もイメージできる。この物語にでてくるショップや喫茶店の場所イメージも何となくできている。中に出てくるロベール・ドアノーの「市庁舎前のキス」はジグソーパズルで作ったこともある(関係ないけど)。
そうそう今はデジカメが普通になっちゃっているけど、フィルム時代にはスライドなるものがあったんだよね。普通のネガタイプのフィルムではなく、ボジタイプのフィルムで撮って・・・。そのスライドを広げたり、光にかざしてみたり・・・という動作も一部の人たち以外には無縁の光景かも知れない。このストーリーから伊庭靖子の絵を見ると、間違いなく写真と見間違う。このストーリーと伊庭さんの絵は本当にマッチしている。僕と同じ世代の人にはお勧めかな。