「ヒトデはクモよりなぜ強い」 オリ・ブラフマン/ロッド・ベックストローム

ヒトデはクモよりなぜ強い

ヒトデはクモよりなぜ強い

タイトルに惹かれて読んでみた。前段は若干だれた感じがするが、中盤からの事例をベースにした展開は非常に興味深い。ヒトデを例にした分散型思考組織の例としてナップスターを上げ、クモは中央集権思考を指している。分散思考型は実態が見えにくく、いろいろな攻撃から防御しやすい、と説く。またそこには今までには考えられなかったエネルギーを利用することができ、ウィキペディアをその代表例として上げている。
イーベイは分散思考と中央集権思考をうまく統合したハイブリッド型と位置付け、成功の要因をエピソード的に展開している。最近は口コミやCGMという言葉だけを切り出して商売にする傾向が強いが、顧客参加型のビジネス構築は今度重要な位置を占める、と思われる。ポイントは宣伝の方法としてCGMを利用するのか、ビジネスモデルの一部にCGMがあるのかは大きく違い、後者しか成功しないだろう。
非常に勉強になる、という位置付けのものではないが、紹介されているビジネスのバックグランドを簡単に理解する上では分かりやすい作品である。