音楽の楽しみ方の変遷 Part I


 


小学校の頃はラジカセで、中学校以降はステレオで音楽を聴くことがほとんどだった。高校になると時々コンサートにも出かけるようになり、大学〜独身社会人時代は海外からのアーティストを中心にいろいろなライブに足を運んだ。この時期にはCDも月に10〜20枚ぐらい買っていて、今でも僕のCDライブラリのほとんどはこの時期に購入したものである。僕の後の世代も同じように過ごしていくんだろうなあ、と思いながら、実は全然違う道のりを歩んでいるようだ。


 


僕が中学の頃に初代ウォークマンが発売され、高一の時にヒット作であるウォークマンIIを手に入れた。通学の時に電車の中で聴くことはあっても、家の中ででウォークマンを使って聴くことはなかった。オーディオシステムがあったこともあるけど、どこかで「音楽は全身で聴く」という意識があって、「耳だけで聴く」というのはサブあるいは代替えでしかなかったのだと思う。


それが今や電車の中を見渡せばヘッドフォンをしていない若者の方が少ないのは・・・と思うほどの状態。ウォークマンのようなポータブルオーディオプレイヤーでなくても、ケータイやスマホで十分に音楽を楽しめるし、音質を度外視すればケータイやスマホを買った瞬間から兼オーディオプレイヤーに変身する。一つは「ダウンロード」という手段で新しい音楽を手に入れる方法が一般化したことがあるだろう。これまでレコードなりCDなりに音楽がパッケージされていた時代には何かしらの機器から他のメディア(プレイヤーのメモリも含めて)にコピーする必要があった。しかし、プレイヤー機器が通信機能を持ち、音楽がファイルというデジタル媒体になった瞬間にスタンドアローンで取り扱うことができるようになった。趣向のパーソナル化や決済方法の簡易化などいろいろな外部環境の対応も含めて変化の後押しをした感じである。それに伴って、ラジカセはもちろんオーディオシステムは特別なものになり、そもそも「音楽をスピーカー経由で聴く」という行為すら前時代的な形相になりつつある。


 


社会人になってからのリスニングルームは主にクルマの中になっていった。R32の時にはADDESTのマルチを組んで、スピーカー1つに対して80Wのアンプを1台という構成で、トランクには6台のアンプが並んでいた。タワーバーも入れていたから、トランクにはゴルフバッグが1つぐらいしか入らなかった。それでも音楽を聴くための投資は高いと思わなかった。まだまだ投資した分だけ音質が良くなる時代だった、ということもあるだろう。が、自然とクルマのオーディオも純正で、メディアもCDからiPodiPhoneに変化していった。でも、どこかで満足はしていなかったんだと思う。


 


1年ぐらい前だろうか、たまたまYouTubeでこの映像を見た時に「きっと求めている音楽の楽しみ方」ってこういうイメージなんだろうなあ、と感じた。



バブル崩壊後に青山スパイラルでジョディ・ワトリーのライブに行って、その時はビールを飲みながら200人ぐらいの規模で楽しんだ記憶があり、「好きな音楽をライブで聴きながらお酒が飲める」、これが僕の中の理想形になっている。