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何度も共感しながらあっという間に読み切った 『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ』 成毛眞




"実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)" (成毛 眞)


この本はいつもお世話になっている『本が好き!』のレビューを見て買ったんだと思う(またいつものように買ってから暫く熟成させていた)。速読術をはじめ、本の読み方について書かれている本(特に新書で)が多数出ている中で本書は別格の作品。著者の成毛氏はご存じの元マイクロソフトの社長。


 


良い作品かどうかは概ね『はじめに』あるいは『序章』がしっかりしている。ここで簡潔に著者の主張がまとまっていて、納得感があるものは大体本編もしっかりしている。『煽り』だけが書かれている作品は最後まで結論がないままか、同じ話を何度も繰り返す(本当であれば3分の1ぐらいのページで済みそうな内容)傾向がある。では、その『はじめに』に書かれている部分から掻い摘んでポイントを書いてみよう。


本書『実践!多読術』は『本は10冊同時に読め!』の実践編に位置付けられる。僕は『本は10冊同時に読め!』を読んではいないけど、本書だけでも十分に簡潔した内容なので問題はない。この『10冊』は分かりやすく表現するために『10冊』としているのであって、『10冊』読まなければいけないことではなく、同時に並列で読みなさい、という喩えである。と同時に、並列で読むということは読む場所を特定するのではなく、どこにでも本が読めるような環境をつくる、ということでもある。ちなみに僕は余程のことがない限り、電車の中では文庫か新書、ベッドサイドで単行本という形で読むことが多く、本を読むタイミングがあるかどうかは別にして外に出る時のバッグの中には何かしらの本を入れている。



限られた時間の中で良い本をたくさん読むためには、まず多くの本を手に取ってみなければならない。読む覚悟を決めるためにも、お金を惜しまず、自腹で買わなければいけない。せっかく買ったからと言って、あるいは読み始めたからと言って、無理に最後まで読むべきではない。


この言葉には非常に重要な意味があると思っている。まず時間は『限られている』という点。決して(自分にとっての)時間は無限ではないので、その時間の中で有意義な読書をするためには「切り捨てる」ことも必要。『読む覚悟』とう言葉も気に入っていて、2000円オーバーの本は買う時にちょっとためらうことがあるけど、ここで決断した本には真剣に向き合う自分もいるので『買うこと』の意味はあると思う。


 


『はじめに』だけではなく、本編の共感する部分はたくさんある。例えば、「私がアマゾンを重宝する理由は配達能力だけ」というエピソードでは、



現在のところアマゾンが他の書店よりも優れているのは、先述したように配達の速さだけだ。アマゾンの売り場編集能力や提案力が優秀だからではない。


この文章を読んだ時には心の中で『でしょ!』って呟いてしまった。買いたい本が決まっていて目的買いをしたい時の検索には便利だけど、あいまいなキーワードで検索してもなかなか期待する本にたどり着かなかったり、ましてやレコメンドされる本は全く琴線に触れない。


その他にも古書店に関して、電子書籍についてと著者 成毛氏の視点で小気味よく言い切るリズムは本当に読んでいて楽しい。所謂、ノウハウ本とは一線介す『作品』になっている。


後半にはお勧めの作品をコメント付きで紹介しているところまでサービス精神満載の一冊である。




"本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)" (成毛 眞)