『THE WALL STREET JOURNAL』を契約してみた


この間、このブログでも書いた『THE WALL STREET JOURNAL』の有料会員登録をしました。年間で約10,000円で、Web、iPadiPhoneすべてのデバイスで見ることができることを考えると安いかな、ということでしばらく購読することに。


 


米国では日本と違って紙の新聞時代から顧客の直接取引をする形態だったため、新聞社もCRMの考え方が普通に根付いています。だから取りあえずアカウントを取得して無料会員登録する(Subscribe)すると1週間後ぐらいに『Special Offer』と称してディスカウントプライスが提示されます。何でもそうですが、何かに登録したそれほど時間を経過していない意識が高い時期にこういったオファーを出すのは効果的です。


有料会員になると過去の記事を閲覧することが出来たり、自分用にページをカスタマイズすることができるようになります。まあ、僕の場合には必要な情報は『Diigo』にクリップするので技術的な機能はそれほど求めてはいないのですが・・・・。


せっかく有料会員になったので、気になる記事を読むようになりました。実は新聞のデジタル化の大きなビジネスチャンスはここにあります。つまり、これまで紙のメディアだった場合には東京に住む人が『THE WALL STREET JOURNAL』を購読しようなんてことはかなりレアケースになるけど、デジタルであればそういった物理的な制約からは解放されます。平たく言えば、顧客のポテンシャルが変わります。言語の問題はあるにせよ、『THE WALL STREET JOURNAL』であれば、英語が通じる国や人で、決済能力があり、何かしらのデジタルデバイスがあれば顧客になる可能性があります。


そしてもう一つ。紙のメディアの場合には基本的に世帯向けのメディアの色合いが強かったが、デジタルになることでパーソナル化される、ということ。可能性としては、固定電話がケータイにシフトしていったような感じ(市場サイズの話ではなく、メディアの価値の話)。日本の新聞も全国紙と呼ばれるいくつかの新聞も実は大都市型新聞で、多くの地域のはその地場の新聞がメインになっている。ただし、それは世帯向けという価値観ではそういう構成図になっていたが、パーソナル化することで全国紙も地方紙も変化の可能性がある、ということである。しかし、紙のメディアと違ってデジタルメディアは必ずそれを読むためのデバイスが必要なので決して単純な話ではないのだが。


新聞などトラディショナルなメディアに対する評価は厳しいものばかりだが、違う側面を見ると新たなチャンスもある。ただし、既存の構造下ではどう考えても厳しくなるのは避けられない。