思わず帯買い! 『日本人の矜持』 藤原正彦

日本人の矜持


タイトル買いではなく、『帯買い』でした(そう考えると、帯という広告は重要かも知れない)。『読書せぬ者は人にあらず、ケダモノなり。』何とも挑戦的なコピーだ。


中身は『国家の品格』がベストセラーになった藤原正彦氏が9人の著名人と対談した内容が綴られている。ちなみにその9人は、


  • 齋藤 孝

  • 中西 輝政

  • 曽野 綾子

  • 山田 太一

  • 佐藤 優

  • 五木 寛之

  • ビートたけし

  • 佐藤 愛子

  • 阿川 弘之


である。数学者でありながら国語の重要性を説く部分はいつもながらの藤原節だけど、各対談相手にこれだけ広範囲で深い知識を持って会話している姿には感服する。僕の中では、中でも佐藤優ビートたけし阿川弘之の3人との対談は興味深く読ませてもらった。


"日本人の矜持―九人との対話 (新潮文庫)" (藤原 正彦)


元外務省の佐藤氏との対談では、得意とする情報戦の話で花が開くんだけどミステリー小説や007みたいなことが本当に行われていても、相手の立場や状況を読んだ上でコミュニケーションする必要がある、すなわち、知識と表現力が必要と説く。


ビートたけしとの対談では、『美』について言及している。ここでは算数や数学ネタで、その美しさを発見したたけしと普段の仕事の中で何となくその美しいルールで処理しているところがある、と盛り上がる。阿川弘之とは阿川家のルールの話。


 


こうして継続的にブログを書いていて思うのは、『読む』というインプットと『書く』というアウトプットを継続することは単純に上手になることだけではなく、物事を整理して伝える、という訓練には非常に向いていると思う。単語に関しても読めたり意味が分かる語彙と実際に使える(話したり、書いたり)語彙の範囲は全然違う。それでも『読む』、『書く』を継続しているとその範囲が広くなってくることは実感できる。ちなみにこの文庫本は500円しないんだけど、中身の薄い新書を読むよりも相当に価値が高いと思う。