やせ我慢も必要なんじゃない? 『情報病』 三浦展/原田曜平


"情報病――なぜ若者は欲望を喪失したのか? (角川oneテーマ21)" (三浦 展, 原田 曜平)


会社の仲間の丹ちゃんと飲んでいる時に話題になり、早速読んでみた『情報病』。mixbeatの中でも時々理解不能になるので、僕には良い参考書だった。

本書の面白いところは、『下流社会』を書いた三浦展氏と博報堂の原田曜平氏がホスト役となり、若者代表に近い草男くんと鉄子さんを交えてのインタビューと形で展開される。草男くんや鉄子さんは特別な若者ではなく、いわゆる現代の若者を表現している人物として選ばれている(本当かどうか別にして)。ある意味ではアンケート結果の『なんとなく』像ではなくて、彼の直接的な会話から感じ取れる部分が多いので通常のレポートなんかよりも分かりやすい。




タイトルにもあるとおり、『情報』が現代の若者を表現する時のキーになるという論点。インターネットとケータイのお蔭でいつでも誰かと仮想的に繋がっている状態なので、逆に繋がりが無い状態に不安を感じるらしい。僕は逆に電話はすごく嫌いなんだけど・・・家の電話に出るのもイヤだし。この本で一番感じたのは知識は豊富だけど経験が大いに不足しているためにそのギャップが大きいこと。つまり、知識を得たことで経験した、と勘違いしていることが多いんじゃないのかな。実際に触ったことも使ったこともないコトやモノをレビューサイトのコメントや友人の言葉をそのまま、まるで自分のものように思ってしまっている。でもね、そんな単純なことじゃないんだよね。僕が新車でBMWを買った時って年収よりも高かったけど、『良さは所有してみて良いか、悪いか判断するんじゃないの?』ってやせ我慢して買ったんだよね。だから真剣に良いところも悪いところも見えてくるし、結果、3台連続でBMWになったわけだし。あ、そうそう、この中にも『クルマに憧れた世代、クルマを知らない世代』というパラグラフがあった。僕は間違いなく『クルマに憧れた世代』だよ。




確かにゲーム機一つとってもDSかPSPじゃなくて、両方なんだろうな。だから『決断』することもなく、周りと平穏無事に過ごせることが重要で(無駄な)『交際費』が嵩むのだろう。何かを選べば、何かを得られないかも知れないけど、『自分で決める』ってことはできるようになるはず。僕は草男くん世代じゃなくて良かったと思っているよ。