『手段』と『目的』をはき違えないように

Big Issue 128号 菊地成孔
昨日の『The Big Issue』のトップページには『菊地成孔』がリレーインタビューとして登場している。『菊地成孔』は好きなアーティストの一人で、特にUAとのコラボレーションアルバム『cure jazz』は今でもよく聴くアルバムである。
今回のインタビューでは彼が1997年にパソコンを購入したことがターニングポイントして答えていて、初めて楽器を手にした時よりも高揚感があった、と言っているので本当に大きなポイントだったのだろう。
僕とPCとの出会いもそれほど古くはなく、1990年に東芝Dynabookを買ったのが最初のPC。高校時代にはコンピュータの授業があり、その時にNECPC-8001 MARK IIとかに触ったけど、まだまだ高級なゲーム機の印象が強く、自分で購入したい、という気持ちにはならなかった(実際に授業の成果物としてBASICでプログラムを書いたけど)。Dynabookを買ったのは、ちょうど386のCPUが登場し、ようやく32ビットが一般化しだした時でもあり、その前の年末に卒論をワープロで書いていて(当時はほとんどの学生が手書きの卒論だった)、提出日の数日前の停電で原稿のほとんどが消える、というアクシデントがあったので気持ち的にもコンピュータに傾倒していった感じだった。
話を元に戻して、菊地氏のコメントの中で印象的な部分が、

パソコンやインターネットは麻薬や覚醒剤と同じくらい恐ろしく害のあるものだと思っているんです。
気づかない人が多いようだけど、パソコンが普及してから、人々の心性は大きく変わりました。パソコンはすべての人を批評家にします。何かにつけてケチをつけ、批判し、検討を重ねさせる。消費者は商品に堂々とクレームをつけ、権利を主張するようになりました。
(中略)
ネットで"つながって感"があるなんていうけれど、そんなのはウソ。自己愛と他者承認をブログで毎日確認する社会ってどうなんでしょう。

僕もブログを書いて、TwitterやBrightkiteもしているけど、同感。ネットを利用したサービスやメディアは手段であって、目的じゃない。きっと多くの人は手段がいつの間にか目的に変わってしまい、そのことに気づかないでいる。それをはき違えるとまずいよね。でもそういう人って多い。本当は『人』と『人』で成り立っているのが『社会』なんだけど・・・・。