音楽、その時代で売れる要素

僕のiTunesの中の曲を改めてチェックしている時にWendy Motenのアルバム(アルバム名もWendy Moten)があって、そう言えば・・・といろいろ思い出したら、気になっていることがあるので今日はこのテーマで。彼女は「Step by Step」という曲が米国ではそこそこヒットして、R&Bチャートではまあまあのランキングになった。作品は92年なので、日本でにて入れようとするとかなり大きな輸入盤を扱っているショップにいくしかなかった。今であれば、amazonで簡単に買えるものも当時は手に入れるのに苦労した。記憶が正しければ、HMVにもCISCOにもタワーにも無かった。でも六本木のウィナーズにはあって、ここで購入したはずである。今聴いても曲もボーカルも本当に良くて、なぜ売れなかったのか不思議である。当時はホイットニー→マライアの時代で、歌のうまさではひけを取らなくても、アーティストとしてのオーラのようなもの、あるいはプロモーションがセールスを左右する時代だったので、そういう意味ではWendyは地味な存在なのかも知れない。つまり当時はプロモーション力が非常にウエイトが高く、大手のレーベルが大きなセールスを築いてきたわけである。

Wendy Moten

Wendy Moten

実はこの後の部分は先日、藤田さんとの話に繋がる。それは「その時代で売れる曲って、作り方で変わるよね」って話題。これは流行とか、誰々が受けているという部分ではなく、もっと身近なところで、以前に比べて音楽をヘッドフォンで聴く率が非常に高くなってきているので、ヘッドフォンで聴いた時に「良いか、悪いか」の判断がされ、実際の売れ行きを左右する、という仮説。僕自身もiPhoneをヘッドフォンで聴いている時には飛ばす曲も車で聴いている時には抵抗なく聴く曲が何曲もある。つまり、ヘッドフォンで直接入ってくる音としては「ちょっと辛い」ものでも、室内、あるいは車など空間を通して聴くと馴染む、よく感じる曲がある。おそらく、その手の曲は今は売れないだろう。
それとiTunesをはじめ、ダウンロード系の曲で聴く人がかなり一般化してきたおかげで、「アルバム」という価値もなくなりつつあるのかも知れない。僕はダウンロードで買わない派なのであまり理解出来ていないんだけど、「必要な曲だけダウンロードすれば良いから便利」という人たちが年齢に関係なく増えてきている感じを受ける。デバイスがケータイしかない若年層はまだしも、僕と変わらない年齢層の人たちも利用者は多い。これじゃ、CDは売れないよね。何が言いたいかというと、ヘッドフォンを意識した音作りとアルバムのテーマに沿った曲とかではなく、単発で売れるかどうか、という流れになってきている、ということ。メジャーじゃない人のまぐれが発生するケースもあるが、プロがコンスタントに売れ続けるのが難しくなってきているのではないか。何かデータで検証してみたいな。