もう少し考えようよ、電子マネーの利用状況の発表

過去に何度か電子マネーに関する感想とか利用状況的なことを書いてきたけど、ちょうどニュースがあったので久しぶりにこの話題に触れてみたい。

電子マネー、1億枚を突破=少額の決済手段として定着−日銀 時事通信

発行枚数が1億超ということで、日本の総人口の約80%規模にあたる。ただし、総人口には生まれたばかり赤ちゃんなども含まれてるので実際には普及率はそんなでも無いはずである。また複数電子マネーカードを所有している人も多いかと思うので、この発行枚数はあまり指標としては意味がない。例えば僕の場合、カード型suicaモバイルsuicaicocaedy付きカード2枚、ケータイがあるので、きっと6カウントだろう。それよりももっと考えなければいけないのは発行数ではなく利用数で、今どきのケータイはほとんどおサイフ機能が付いているので、そのカウントがどうなっているのか、実際のユニークな利用数はどうなっているのかを把握していないと意味がない。
比較対象がデビットカードというのも時代錯誤も甚だしい。ちなみにいろいろなところで買い物をする際にデビットカードで決済している人を見たことがない。デビットカードってその母集団って銀行のキャッシュカードの発行枚数だし、中国と違ってデビットカードの利用イメージが無い日本において、これと比較することが理解できない。比較対象ならば、クレジットカードでしょう。
他の新聞社系の記事を見ても、集計や所感が中途半端で非常に気になる。まず発行枚数をドライブしたのはどう考えてもケータイでしょう。それとセブンの参入かな、絶対店舗数が多いからね。都市部で生活する若い層はスーパーよりもコンビニでの利用頻度が高いだろうし、プレイペイド型でも小銭を受け取らないで済むnanacoは導入しやすいだろう。nanacoがモバイルに対応していることも大きい。マーケティングとして正しいと思う。
利用回数から判断して「休眠カードが多い」という判断もいかがなものか。見なければいけない視点は「カード」という部分じゃないんだよね。財布からカードを出すんだったら現金を出してもアクションは変わらないし、自然と使わなくなるでしょう。それと1枚あたりの利用回数って意味がない指標だと思う。
少しマーケティングに興味があるひとだったら、おサイフケータイとコンビニでの利用範囲の拡大がキーだって分かるでしょう。ケータイとカード型を比較すれば答えは出てくるし、分かりやすいはず。それからクレジットカードと一緒になっているedyにチャージした電子マネーは有効期限が切れて新しいクレジットカードが届いても移行できないんだよね。つまりカード内ICにチャージしたものは使い切らなくてはいけない。同じedyで見ると、ケータイは機種変更しても移行可能。ただし、100円取られるけど。これってカード型を使わなくなる要因じゃないのかな。
データを発表するなら、もうちょっと考えて発表して欲しいし、報道もそのまま流すのは能がないんじゃないの?