事実と向きあうこと、それがマーケティングの第一歩

最近、仕事でいろいろな会社の方々と話をすると力点が新規中心から既存客中心にシフトしていることを強く感じる。「景気は底を打った」と言われながらもビジネスの現場ではまだまだ不透明感が強く、また年度予算で動いている企業の組織としては景気が上向きにトレンドが変わっても暫く辛抱しなければならない時間が必要である。そんな時に、はせれいがブログで書いていたのでこの辺を書いてみたい。

顧客維持型のマーケティング マーケター+ジャズ・シンガー

僕が考える顧客維持型のマーケティングというのは、マーケティングの中でもメインというは基本の部分だと考えている。だって、既存顧客の方が既にその商品なり、その会社に対してある程度の理解や満足感を得られているわけで、だから企業はアップセルなりクロスセルを考えるのである。Webでいえば、レコメンドがそれに近いかな。またメアドを入手しているのであれば、メールでアウトバウンドのアプローチをすることも出来るし、コストをかければDMを打つこともできる。一方の新規獲得に関しては、その企業が提供するサービスや商品の消費サイクルやリピート率などで違ってくるものの必ず必要なものでもある。そうでなければ売上は下がる一方で、満足していただいているお客様にもこれまでのサービスを提供することが出来なくなる。しかしこの両方がうまくかみ合っている企業は意外と少ないように感じる。新規獲得が得意な企業は顧客サポートが苦手で、顧客満足度を重視する企業は新規獲得が得てして不得手である。少し違ってきた感覚を持っているのは自分たちの顧客を正しく見つめ直そうと考える企業が出てきたことである。最近の言葉でいえば、「カスタマーインサイト」だろうか。どんなお客様が継続してサービスを利用されていて、どのようなお客様が離れていっているのか、その離れる原因は時代の流れなのか。そして離れていったお客様は重要なお客様で、離れていった先のようなサービスを構築する必要があるのかを知ってビジネスの判断をしたい、という話を多く受けるようになった。ここで良く出てくる言葉が「LTV」や「優良顧客」というワード。これが結構やっかいなのである。まずこれらの定義をしっかりと出来る企業が少ない。出来るとしても「神話」に頼っていて、必ずしも事実に基づいているわけではない。まあだからこそ、僕らのビジネスがあるんだけど・・・・。既存ビジネスを支える既存顧客の素性を事実で証明し、そして戦略や戦術に落とし、マーケティング活動を行う。マクドナルドの原田社長はどこででも「マクドナルドのビジネスは、「顧客数x来店回数」だ」と非常にシンプルなメッセージを出している。これは自分たちのビジネスを良く理解しているからだろう。自分たちのビジネスがどのような顧客で成り立ち、トレンドと合わせて見た場合にどこにウエイトを置く必要があるかを事実で掴んだ上で、どのようなマーケティング活動が必要かが決まってくる。今の延長線が必ずしも正しいとは限らない。まず最初にすべきは先入観や過去の神話に踊らされずに事実を対面することだろう。