本を作る意気込みを感じた

通勤時間や仕事時の移動時間が重要な読書タイムになっていたのに、最近はiPhoneポッドキャストを聴いたり、いろいろなソーシャルメディアへのPOSTをしたりと、こまぎれの時間がそちらに使われてしまっているために読書のペースが落ちている。今、途中の「クラウドソーシング」を買った時に「書こう」と思いながら、ついそのままになっていた。本の中身の話ではない。
会社の近くということもあり、五反田のブックファーストは比較的に行く方である。会社は五反田と目黒の間にあるので、目黒だと有隣堂を利用することになる。で、ブックファーストで見つけたのが「クラウドソーシング」という本である。内容が面白そうだから買ったのではなく、その本が「光って見えた」ので購入した(また、馬鹿なことをいっている、という声が聞こえてきそうであるが)。
hayakawa juice
これは早川書房が新書リニューアルの第一弾として出版した中の一冊である。中身も面白いだけど(これはこれでいずれ書きます)、本としての位置付けが面白い。まず形は新書なんだけど、他社の新書に比べると厚さが違う。それと紙質はそんなに良くない。つまり日本語だけど、海外でよくあるペーパーバックに近いイメージ。とはいっても、それほど紙質は悪くないけど。ただし、値段は1400円(税抜きで)。つまり新書でありながら、ほとんど単行本の領域で、値段的には気持ち単行本とは違うプライスを付けている。
違う見方をすると、テーマも内容も旬のものを出来る限りまともな内容で書かれていることに気付く。最近の各社の新書のように「売れる時期に売っちまえ!」的な中身を3倍に薄めたカルピスの飲み方のような本とは違う。これは僕の主観だけど、「中身の価値に値段を付けている」本なのである。旬のテーマであれば、工程を増やして時間をかけるよりも原稿があがったら一日でも早く店頭に並べることにフォーカスしている。単行本の場合、装丁なども考える必要があるので新書とは内部工程数も結構違うだろう。
僕はこの早川書房の決断は英断だと思っていて、更にこのシリーズがしっかりとビジネスベースに乗って欲しいと願っている。今後、本もいろいろな形態での提供方法になっていくと思う。ケータイ小説やケータイ漫画が伸びていることを見ても、必ずしも「紙」とは限らず、PDFや簡易製本のサービスも出てくると思う。特にビジネス書なんかはPDFも一緒に付いてきて、必要な箇所に「しおり」を入れたり、検索で済ませる方が効率的だし、小説は紙で自分の好きなペースで読めた方が僕にはベターな選択である。僕の中では、「ミステリーのハヤカワ」が大胆な戦略をしたと思っているし、薄味の本とは違う部分で成功して欲しい。