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これはマティーニじゃなくてコーヒーの香りを楽しみながら 『文房具を買いに』 片岡義男




"文房具を買いに (角川文庫)" (片岡 義男)


『本が好き!』のレビューで@hamachobiさんのレビューを見て買ってみた。著者の片岡義男の作品は中学、高校時代にはそれこそ貪るように読んでいた。当時、多くの書店の文庫本の棚は角川文庫でかなりのスペースを占められ、中でも片岡作品は背表紙が赤く、棚のある部分が真っ赤になっていた。当然、家の本棚も同じようになっていたんだけど。


 


本書は小説ではなくエッセイで、さらに片岡氏が撮った写真も一緒に展開されている、という豪華仕様である。今話題(?)のモレスキンの手帳に始まり、エンピツからハサミ、ノート、ピンと文房具好きにはたまらない。片岡氏自身はエンピツに対するこだわりは人一倍強いらしい。考えてみれば僕自身も『エンピツ』は小学校の低学年ぐらいしか使っていなかったし、その後も製図を書く時や美術のデッサンの時ぐらいしか使った記憶がない。それぐらい『エンピツ』は特別な筆記具な感じがする。それは僕に限らず日本ではほとんどそうなのではないだろうか。米国ではそんなことはなく、ジャケットに『エンピツ』を入れるためのクリップがあるという(実際にその写真も撮影されている)。たしかにステッドラーのシャープペンに付いているクリップが似たような感じだけど。


米国で『エンピツ』が普通に使われている理由の一つがクロスワードらしい。日本でもクロスワードはいくつも雑誌が発行されているけど、どちらかといえばマニアや懸賞目的の要素が強い気がする。確かどこかの新聞社のクロスワードコンテンツ(紙の新聞の話ではなく、サイト上のサービスの一つ)が有料だった気がする。


 


小説ではドライな描写が続く片岡氏の文章だけど、ディテールにこだわりながらもそこには片岡氏の『思い』がにじみ出てくる感じがする。登場するのはほぼ海外製の文房具だけど、気に入ったエッセイがあったらその文房具も是非試してみて欲しい。僕はとあるノートが気になっているんだけど・・・・。