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裏付けがない論理を展開されても・・・ 『MBAで学ぶ 負けない戦略思考「ゲーム理論」入門』 若菜力人

Book




"MBAで学ぶ 負けない戦略思考「ゲーム理論」入門 (フォレスト2545新書)" (若菜力人)


『「ゲーム理論」入門』と書いてあるわりにはゲーム理論に関して理解を促すような記載はありません。またいくつも例を挙げていますが、その裏付けとなる事実を論理的に表現しているわけではなく、非常に中身の薄い内容になっているのが残念です。


例えば「VHS-ベータ戦争」という項目ではVHS方式を採用していたメーカとベータ方式を採用していたメーカがそれぞれどこだったのかぐらいしか書かれておらず、当時の市場規模やシェア、VHS方式が勝った理由や戦略に関しては全く言及されていません。その延長線上の話として、HD-DVDとブルーレイを取り上げ、東芝がシェア競争になる前にHD-DVD方式から撤退した、と繋いでいるものの、その戦略の選択をしたことによる具体的な数字などは挙げられていません。これでは机上論であり、その論理が本当に正しいのかどうか判断がつかない、素人のような話です。


実は他の部分でも同じような調子で書かれていて、調査や取材を端折った安っぽい内容で最後までいってしまう。マイレージプログラムに関しても表面的な話ではなく、それぞれの航空会社にとってマイレージプログラムは効果を上げているのか、それは何を以て証明できるのかなどは全く触れていない。でも、



実はマイレージプログラムは航空会社にとって、顧客獲得と囲い込みのために周到に計画された、戦略的なマーケティングツールなのです。


って、本当ですか?って疑いたくなる。米国のように都市間の移動に飛行機を利用する人が多く、その人たちを常に自社のブランドを選択してもらうように出来上がったアメリカン航空の『A Advantage』の成り立ちだったら分かる気がするけど、JALANAも真似しただけなんじゃないの。日本に於いて、飛行機を頻繁に利用する人は多分、両方のマイレージカードを持っているだろうし(僕もそうだけど)、『囲い込み』って言葉を使うこと自体が胡散臭い。僕がかつて飛行機を頻繁に利用している時には、国内線はANA、米国へはAAを利用していた。ANAedyに変換できるところにメリットを感じていたし、そもそも国内線に乗ってもそれほどマイルは貯まらないのでedyに変換するぐらいがちょうどいいぐらい。AAは当時機材が新しかったということ、路線が充実していたなどがメインの理由で、マイレージはその次。


 


とにかく得るものが何もなかった残念な一冊だった。