思わず泣いちゃった・・・ 「引き出しの中のラブレター」


"引き出しの中のラブレター [DVD]" (三城真一)


不覚にも泣いてしまった。


まったく期待せずに観たんだけど、常盤貴子のパーソナリティは妙にフィットしていた。すごく声に感情を乗せるのが上手だし、声のトーンもいい感じだった。ホンジョとのシーンでは、マイクの前では自信たっぷりを演じているのにプライベートではどこか踏ん切れない、そんな久保田真生をすごく自然に演じていた常盤貴子が印象的だった。


 


『ラジオ』と『手紙』という今となってはちょっと置いてきぼりになってしまったメディア。でもある世代以上には『懐かしさ』とそれぞれの『エピソード』があるメディアでもあり、きっとそれぞれの想い出と重ねて見入ってしまうだろう。


僕は結構ラジオを聴いていた方で、小学生ぐらいから聴き始め、社会人になってもクルマの中ではもっぱらFMを聴いていた方である。ラジオのパーソナリティに興味を持って聴いていたのは高校生ぐらいまでかな(その頃にはミスDJリクエストパレードを聴いていたし)。そうそう、火曜日の川島なお美の日は楽しみにしていたなあ。そんなことはどうでもいいんだけど・・・。


久保田真生自身が父親との距離をうまくとれず、最後までその距離を埋めることができないまま父親は亡くなってしまった。そんな気持ちの整理がつかない中で一通の投書がきっかけになり、函館の家族のわだかまりを埋めるべく動きだす。きっと自分自身との決着をつけなければいけない、という気持ちの方が強かったのだろう。亡くなった父親からの手紙も封を開けられず、引き出しにしまったまま時間が過ぎていく。封を開けて手紙を読んだ時に、真生の気持ちが変わっていく。


 


この映画の特徴は、


  1. 映像がキレイなこと

  2. 音楽が気持ちいいこと

  3. キャスティングが素晴らしいこと


だと思っている。1.は東京の夜景と函館の自然を対比させながら表現している。まるで『昔』と『今』、『アナログ』と『デジタル』のような感じで。2.は映像の邪魔にならないように、でも音楽だけでも十分にいける、そんな音楽だ。3.は何といっても仲代達矢八千草薫の存在感は素晴らしい。セリフがなくても身体からメッセージが聞こえるような錯覚を覚える。


主題歌のアーティストにSkoop On Somebodyを選択したのは正解だと思う。久保田真生が速見恭三の手紙を読むシーンにSkoop On Somebodyの『sha la la』を重ねて観たら、ちょっと違った感じでよかった。ただし、『煙が目にしみる』をかけるのはナシになるけど。