娘への誕生日プレゼントとして 『13歳のハローワーク』 村上龍


"13歳のハローワーク" (村上 龍)


元々、僕が読みたいと思っていたんだけど何となくきっかけが無くて手に入れていなかった。娘の誕生日のプレゼントとしてのアイデアamazonを見たら、なんともう新刊は無いんですね。仕方がなくマーケットプレイスで注文することにした。ネット上ではネガティブな意見も多く見かけるけど、そもそも学校教材として作られたものでもないし、村上龍氏のフィルターで書かれるのは当たり前なのでネガティブな発言をする方が間違い。料理をするために作った包丁を『こんな危険なものを作ってけしからん』と言っているのと同じことである。どんなものでも作(創・造)られたものには得意な部分と不得手な部分が共存する。それがたとえプログラムコードのようなものでも同じである。

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世の中のたくさんの職業を取材してまとめられたこの本の意義は大きいと思うし、できれば5年に一回のペースでリバイズされていくといいな、と個人的には思う。これによって世の中の変化を捉えることができる。最近では『Webデザイナー』という職業が普通に存在するけど、インターネット黎明期には存在し得なかった職業である。今後は『Webデザイナー』という言葉すら意味が無くなり、更に細分化された職業名が一般化される可能性も大きい。今でもテクニカルアプローチが必要な部分とデザイン性が問われ、その両方をクリアすることはかなり難しく、実際には分業で一つの作品(サイト)が出来上がるのが普通である。

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この本は6年ちょっと前に出版されたわけだけど、興味の一つとして最初に読んだのは『編集者』。今後も残る職業だと思うけど、きっと意味が大きく違ってくるだろう。これまでの本の多くがデジタル化されていくであろう流れの中で、『本』を作って売るということから『コンテンツ』を作って売る、という意味に変わり、『本』はメディアの一つでしか意味をなさないことになるかも知れない。つまり編集者にもWebやネットのスキルセットが必要になり、コミュニケーション能力が高いWebデザイナーが新しいタイプの『編集者』になる可能性も大いにある。また最近、境さんがしきりにまとめている電子ブック、電子書籍のあり方などを想像するとこの『13歳のハローワーク』のようなものはいろいろとチャレンジできるポテンシャルがあると感じる。実際に公式ウェブサイトもある(気持ち的にはちょっと違うんだけど)。取材は今後も大変な作業になるけど継続して発行して欲しい『コンテンツ』の一つである。


それと興味深いコメント。



『作家』

13歳から「作家になりたいんですが」と相談を受けたら、「作家は人に残された最後の職業で、本当になろうと思えばいつでもなれるので、とりあえず今はほかのことに目を向けたほうがいいですよ」とアドバイスすべきだろう。