コミュニケーションの達人は仕事も人生もうまくいく 「伝える力」 久恒啓一+NPO法人知的生産の技術研究会

伝える力―各界トップランナーが講師をつとめる自己表現の教室

伝える力―各界トップランナーが講師をつとめる自己表現の教室

「人は自然と必要なものを手にする」ということが実体験として理解した一冊だった。mixbeat2期生の第二回目のワークショップのテーマ決めが難航している。本当にやりたいことがはっきりと決まらず、右往左往しながらなかなか着地ができない。元々、第一回目のワークショップで「自己紹介プレゼン」をしたところ、予想以上に出来が悪く(塾生の感触として)、今回の担当塾生以外でも「プレゼンがうまくなりたい」という気持ちが強く、それに答えるようなワークショップを実施する方向で進めていたが段々と軸がブレだした。担当事務局としてサポートする上で、どんなアドバイスをすれば・・・と考えていた時にこの本を手にした。正直、あまり期待していなかった。いや、全然期待していなかった。が、この本の中の何人かの話は非常に響いた(ワークショップのテーマには役に立つかどうか別に)。
本書の特徴は「伝える力」を「理解する能力(よむ)」、「思考する能力(かんがえる)」、「伝達する能力(かく)」の3つの切り口で展開されている点である。特に「理解する能力(よむ)」の1つ、和泉育子さんの「ほんとうの気持ちは「聞く」能力がつくと引き出せる、は素晴らしい。プロのインタビュアーである和泉さんの話は当初、胡散臭い人かな、という先入観で読み始めた。が、そうじゃなかった。「聞き出す」能力はテクニックじゃなく、「相手の気持ちに寄り添い、五感を使って心で聞く」こと。またこの言葉が一番印象的だった。

インタビューとは、相手の心の豊かさを探し当て、自分の心の豊かさに変えていくことなのです。

そして、

人の話を聞くことは、相手の人生を見せていただくことです。

つまり自分自身を磨いて向上させることが出来なければ、「聞き出す」ことはできない、ということですね。