日本の「伝統」食 森枝卓士

ここずうっと食品の杜撰さや意図的な操作が事件として明るみに出ていることとは別に、日々口にする食べ物や調味料に関心を持っていたタイミングだったのでタイトルだけで買ってしまった。元々は雑誌「自遊人」のルポをまとめたもののようだが、非常に楽しく読み進めることができた。著者も書いている表現だが、「まっとなもの」とは「高い」や「貴重」(もしかしたら今となっては同義語に近いかも知れないが)ではなく、本来の作り方で作られたものを指す。この本を読んだことで、日本酒に「純米酒」があることや「みりん」の作り方、なぜ「みりん風」があるのかも分かった。国産ごまを使用したごま油は紹介されている会社の商品以外存在すら難しいことも初めて知った。こういうことを知っていると食事との付き合い方も変わってくる。残さず食べることが如何に重要なことか(感謝)。せっかく日本という国に生活しているのだから、「まっとうなもの」を「普通のもの」として食したいものである。