「十二月のひまわり」 白川道

十二月のひまわり

十二月のひまわり

以前にも読んだ作品だが、つい表紙のひまわりに誘われ、再度読むことに。白川道はデビュー作の「流星たちの宴」や「天国への階段」など長編のイメージがあるが、短編は短編で白川ワールドを満喫できるエリアである。ただし、結論が書いてないことが多く、「それぞれの結論を持て」というケースが多い。
この「12月のひまわり」には5編の短編が収められているが、ドラマ性はタイトルにもなっている「12月のひまわり」か。主人公の相楽のキャラクターは白川作品で最も多く登場するタイプで、世捨て人的な生き方をしながら一つの「筋」みたいな部分への拘りを心の拠り所として生きている。この手のキャラを書かせたら、最高の作家である。そういえば、白川道って実力がありながら賞って取っていないんだよね。「無冠の帝王」という言葉がピッタリとくる。
どこかのタイミングで過去の白川作品も含めて、書くことにしよう。この作品を読む人は、その前ににデビュー作の白川作品に触れてからの方が良さを満喫できるだろう。