1年半ぶりの再会 『目覚めよと彼の呼ぶ声がする』 石田衣良


"目覚めよと彼の呼ぶ声がする (文春文庫)" (石田 衣良)


はっきりいって僕は石田衣良のファンなので、僕のレビューはかなり偏ってます。この本の単行本はちょうど1年半前に読んだ。


関連:


[Book]「目覚めよと彼の呼ぶ声がする」 石田衣良 2008-07-18


[Book]「目覚めよと彼の呼ぶ声がする」 石田衣良 2008-07-19


いろいろな雑誌や新聞のコラムとして書かれた文章をまとめたエッセイ集。読み手であるターゲットに合わせて文章を微妙にコントロールしてくるところが石田衣良らしい。それぞれを読むとどれも石田衣良だし、もしかしたら本当の石田衣良はそこにはないのかも知れない。文章はいつも『自然体』で柳のような感じなんだけど、そこには必ず『芯』がある。『なにそれ?』って声が聞こえてきそうだけど、そんな人はまず読んでみるといい。妙にへりくだってもいないし、上から目線でもないし、等身大の声がする。


このレビューを書くために過去の文章を読んでみたら、気になって話が違うところだった、というのが面白い。読んだのは同じ僕なのに、その時の気持ちの状態で違うところにスティックするんだね。



『日本人のクイックネス』


スピードを無くした者が立つフィールドなど、未来ないはずなのだが。


この言葉にやられた。さすが元コピーライターだ。



『明るすぎず、暗すぎず』


東京の西側と手を組むぐらいなら、大阪人といっしょにクーデターでも起こして新しい首都を作ったほうがいいと思った。


気持ちは何となく理解できる。実家にいる頃の僕にとって東京の入口は上野だったし、上野を中心に東京を移動するイメージだったから、東京の西側に住むようになった時にはちょっと違和感があった。たとえば、ほとんどお好み焼きやもんじゃを食べる店がない、とか。



『子どもたちの灯台』


お子さんがいらっしゃる方々はきっとこの話のところでは時間をかけて考えた方がいいですよ。



『「成長」よりも「成熟」を』


同感。僕は常々思っているのが、これまで米国の背中を見て成長してきたけど、これからはヨーロッパに学ぶべきところが大きいんじゃないかな。国土もそれほど大きくなく、人口も著しく増加するトレンドになっていない国が目指すのはヨーロッパの国々なのではないだろうか。


 


最後に装丁は単行本の方が良かったな・・・。