「遊戯」 藤原伊織

遊戯 (講談社文庫)

遊戯 (講談社文庫)

今月は藤原伊織月間なのか講談社文庫からは「遊戯」が出版されていたので購入。以前に単行本を読んだ時の内容を確認したら、結構酷評してましたね。

「遊戯」 藤原伊織 2008-06-19 feel the wind

文庫になったところで内容は変わらないので、未完で中途半端なのは一緒。しかし、本編と一緒に収められている「オルゴール」はちょっと違う印象だった。未完ともとれるし、これはこれで完成度が高いとも言える。登場人物それぞれのサイドストーリーを読みたくなるぐらい興味深い人たちで構成されている。とはいえ、そのサイドストーリーは決して世に出ない訳なんだけど。
本は中身の文章だけではなく、装丁、帯、解説、あとがきなどいろいろな要素で構成されている。僕の中では以前よりも「装丁」の重要度の高さを感じている。以前は「なぜそこまで神経を使って装丁を考えているのか」不思議な気がしたが、「装丁」で選ぶこともあるし、「装丁」がその作品の「品」を決めることもある。売上に直接的に効果があるとすれば、帯に書かれたメッセージと「誰が」書いたかだろう。今回の帯の言葉は「最大の謎。解けない謎。」。コピーとしては失格でしょう。作品が途上で作家が亡くなっている以上、「謎」じゃなく、そりゃ解けないよ、と思うのは僕だけじゃないだろう。