『レンブラント 光の探求/闇の誘惑』を見て


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上野の国立西洋美術館で開催されている『レンブラント 光の探求/闇の誘惑』に足を運んでみた。特に美術に関心があるわけではなく、どちらかといえば北森鴻の作品にたびたび登場する彼の名前が記憶にあり、なんとなく気になっていたので実際に作品を見ることにした。僕の中では一つの共有したテーマを掘り下げていく感覚よりも関連するキーワードを実際に確かめる方が性に合っていて、今回のレイブラントの観覧も冷めたな視点で見ることができた。



『レンブラント 光の探求/闇の誘惑』


場所:国立西洋美術館 〒110-0007 東京都台東区上野公園7番7号


交通機関:


JR上野駅下車(公園口出口)徒歩1分


京成電鉄京成上野駅下車 徒歩7分


東京メトロ銀座線、日比谷線上野駅下車 徒歩8分


会期:2011年3月12日(土)〜2011年6月12日(日)


休館日:月曜日(ただし、5月2日は開館)


平日の昼間に行ったにもかかわらず予想に反して会場ににはかなりの人数の人がいた。風貌から判断するとそれこそ多種多様な人が訪れていた感じがする。まあ僕もその多種多様な人の一人には違いなけどね。


油絵にしても版画にしてもレンブラントが得意とする「ある部分に光を当てたような手法」は作品の分かりやすさ(焦点をどこにもっていけばいいのか、というレベルで)があると思う。僕のような素人でも自然とそこに目がいくし、そこから何かしらのメッセージを受け取ろうとする。レンブラントが凄い人かどうかは過去の先人たちが評価しているわけなので、あえてどうのこうの言うつもりもない。でもせっかくこれだけの数の作品を展示しているのであれば、少し違う角度での説明も欲しかったな、と素直に感じた。というのは、彼が生きていた時代背景をその場で、時系列で見られたらもっと価値を理解できたのではないか。


 


レイブラントの作品を時系列で並べるのと一緒に技術年表と宗教年表、そしてヨーロッパの主な出来事が一つで見られたら感じ方も違ったのではないだろうか。彼の版画にはエッチングだけではなく、エングレービング、ドライポイントなどの手法も使われている。それは技術の歴史にも大いに影響受けているだろうし、数多く描かれた宗教画の意味を少しでも理解するためには描かれた当時の宗教分布などがあった方がレンブラントの立ち位置やパトロンの置かれた立場なども分かりやすいだろう。またキャンバスにもこだわっていたレイブラントだが、当時の貿易ルートや量なども情報としてあれば、和紙や中国紙が手に入れやすかったのかどうか、同時に入ってきたものは何なのかと、より広い視野で作品を見ることができるような気がする。


 


別の観点から意識したのは「光の当て方」という部分を切り取って見つめてみると写真の撮り方の参考にもなる。絵や版画は写真とは違う次元のものであることは理解しているけど、どちらも何を描こうと思ったのか、何を伝えたかったのか、という部分は共通していると思う。そういう意味では写真の構図や露出といった技術的な側面をさらに一歩踏み込めるのではないか、という感覚もあった(錯覚かもしれないけど)。


 


素人の僕が見ても十分楽しめる展示だったので少しでも興味や心得がある人が見るとかなり満足度の高いイベントではないだろうか。6月半ばまで開催されているようなので、興味がある方は是非足を運んでみてください。


 


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その後は上野公園を通って千駄木に降りていき、ボリューム満点のメンチカツ定食をいただきました。これも本当に美味しかった。