依頼原稿を書く、という初めての経験


今日は昨日の続きの話を。


『本が好き!』で1級になったことで初めて依頼原稿(書評のね)なるものを書くことになった。文章的には非常に短いものなんだけど短いからこその難しさもある。これまでも仕事でプレスリリースを書いたり、ブローシャの文章を書いたりしてきたけど、それらに比べても一番緊張(?)したかな。字数だけじゃなく、ワード数 x 行数で指示がきて、つまり実際の掲載イメージで構成を考えないといけない。書き方の方法論を学んだことがあるわけではないので、まずは全体の構成を決めて、各パラグラフに盛り込む内容を決め、キーワードがあればそれを挙げて、まずは全体を俯瞰した時に統一感があるかどうかを見てみた。いわゆる起承転結の形式よりも導入部分-展開-結びぐらいの感じで構成されていればいいかな、と思いながらチェックしてある程度の方向が決まった。


 


まずは字数を意識せず、実際にその案に合わせて書きだしてみた(字数は後から修正すればいいし)。当然ながら字数は大幅にオーバーし、それを指定のワード数でレイアウトしてみた上で校正を試みた。


しかし、やっぱり自分の文章を自分で構成すると書いた時の意識の方が強いのでなかなか分かりにくさやミス部分は見つかりにくい。そこで、そのままの状態で寝かせ、別の日に新たな気持ちで取り込むことに。今回は比較的時間の余裕があったからこんな呑気な方法でできたけど、コラムなどを書きながら生計を立てている人はどうしているんだろう・・・と思いながら、文章で食べていくのは相当大変だな、と感じた経験でもあった。


 


まあ何とか体裁もまとまり、担当の編集者さんに原稿を送ってチェックしてもらった。やっぱり第三者の目で客観的に見てもらうことは重要ですね。担当編集者さんからのチェックの中では大きな修正は無かったものの、


  • パラグラフが変わる前の一行が短いため、行の真ん中以上にもっていけないか

  • 元の文章に使っていた指示代名詞が何を指しているのか不明瞭なので修正できないか


の2点。内容は大したことないんだけど、「数文字」の調整は本当に難しい。日本語は類義語が豊富にあり、文字も漢字からひらながまで表現方法も複数あるけど、それを使いこなせない限り意味をなさない。それに誰でもそうだけど、読んで分かり語彙と自分で引き出せる語彙の量には大きなな差があるのでなかなか思うような言葉が出てこない。多少苦しんだけど何とか言葉を引っ張り出して修正が完了。


その後、出版社の担当の方にチェックしてもらった結果、


  • (フックとした部分をネガティブに書いたために)そこを否定しなくてもいいのではないか。

  • (このネガティブに書いた)導入部分と結びでの表現を考えると引っ掛かりを持つ読書もいるのではないか


という指摘を受け、文脈を変えずにポジティブな表現に修正して完了。


 


今回の経験でよく分かったことは、文章は完全に構造化されたものでないとこういう指摘に耐えられないこと。今回は先に全体構成を考えていたからできたけど、ブログのように勢いだけで書いていたらきっと相当な苦労をしたんだろうな、と今更ながら感じた。語彙力は読むことも書くこともまずは量をこなさないと話が始まらないんだろうな。こういう「緊張感を持って書く」という経験を積み重ねると少しは文章が上手くなるのだろうか。そうであれば、この経験は増やしたいところだなあ。


そうそうそれからもう一つ。雑誌の小さな部分の原稿(ちょっと失礼な表現だけど)でもたくさんの人が真剣にチェックした後に完成するという事実にちょっと驚き。これも「質」を担保し、維持していくための地道な努力なんだろうな。そういうことを知った後で編集された記事を読むと今までと違って見えるから面白いものである。