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100ページ価値は∞ 『シンプリシティの法則』 ジョン・マエダ

Book




"シンプリシティの法則" (ジョン マエダ)


たまにレビューを書きにくい本にぶつかる。この本もそのタイプ。ジョン・マエダの『シンプリシティの法則』。ページ数で言えば僅か100ページで、活字もそれほど多くない。急いで読めば1時間程度で読み切れてしまう。そもそも本の価値をページ数や読むことに費やした時間で計ること自体がナンセンスなんだけれども、僅か100ページを真剣に読むとかなり時間が掛かることを覚悟しなければならない。多分、僕は10数時間を費やし、過去に読んだ本を紐解き、ネットで検索をしたけれど、まだ整理がついていない。


 


本書には10の法則と3つの鍵が記載されている。



法則
削減
シンプリシティを実現する最もシンプルな方法は、考え抜かれた削減を通じて手に入れる。
組織化
組織化は、システムを構成する多くの要素を少なく見せる。
時間
時間を節約することでシンプリシティを感じられる。
学習
知識はすべてをシンプルにする。
相違
シンプリシティとコンプレクシティはたがいを必要とする。
コンテクスト
シンプリシティの周辺にあるものは、決して周辺的ではない。
感情
感情は乏しいより豊かなほうがいい。
信頼
私たちはシンプリシティを信じる。
失敗
決してシンプルにできないこともある。
1
シンプリシティは、明白なものを取り除き、有意義なものを加えることにかかわる。

アウェイ
遠く引き離すだけで、多いものが少なく見える。
オープン
オープンにすればコンプレクシティはシンプルになる。
パワー
使うものは少なく、得るものは多く


 


冒頭の「本書の読み方」にも記載されているが、法則の1-3が基本のシンプリシティでまずはこの部分をよく理解して自分のものにする必要がある。僕が考える理解というのは、真意を人に伝えることができる、あるいは具体的な例を挙げて説明ができる、と同義語だと思う。極論を言えば、この3つの法則を自分のものにできるまで(実行できるとは別)何度も反芻しながら読み進める価値がある。


例えば法則1の「削減」の中では縮小(Shrink)、隠蔽(Hide)、具体化(Embody)と表現していて、著者は頭文字を取って『SHE』といい、『彼女(SHE)はいつも正しい』というフレーズを使っている。僕はデザイナーでもないし、何かモノを作っているわけでもないが、クライアントに見せるプレゼン資料をこれに当てはめて見ていると、


  • テキストが減る

  • 言葉を考える(コピーライティング的に)

  • (1枚のスライドの中で)全体のバランスを考える


結果、主張が明確になる


という感じになった(自分の中ではね)。お陰で図形の立体メタファーとか使わなくなります。


そうすると、今度は「時間」に繋がっていくだけど、これも僕の解釈でいるとスライドの装飾に時間を費やすのではなく、ブラッシュアップやリハに時間を費やすべき、という結論。目的は『伝えること』であって『きれいに見せる』ことじゃないから。


 


どうですか?


100ページをあなどれないでしょう。多分、読者が置かれている環境や携わっている仕事の内容によって解釈や伝わることが大きく違うと思う。でも、ベースにある思想は相通じるもののはず。だからこそ『法則』になるわけなので。これはいつも近くにあって迷った時には再度読んでみる、そんな本ですよ。