今がまさに旬! 『Facebookをビジネスに使う本』 熊坂仁美




"Facebookをビジネスに使う本" (熊坂 仁美)


日本でもじわじわと広がりつつあるFacebookだけど、現時点では『ビジネス向け』に書かれた唯一の本だろう。まだまだFacebookの基本的な使い方や機能の紹介が中心な状況を考えると、かなり先行している著作だと思う。


 


この本に対して非常に好感が持てるのは、


  1. Facebookはメディアの一つでFacebookだけでどうなるものではない

  2. 事例を元にポイントを整理している


点である。1.については、既存のホームページや他のソーシャルメディアYouTubeであり、Twitterなど)と連動させることでその価値が増大することを説いている。2.に関して言えば、先行する海外事例もそうだけど、著者自身もファンページを作って経験を踏まえながら説明している点では説得力もあるし、読んでいて地に足がついた感じが伝わってくる。またコミュニケーションの場であることを終始一貫して伝えようとしていることを見ても著者のまじめなスタンスが感じられる。


 


個人的には作家の公式ファンページを展開した出版社の事例が興味深かった。昨年から電子書籍の話題は事欠かない毎日だけど、まだまだ主力は紙の本であり、訴求できる余地は残っていることを物語っている。日本でも作家の公式サイトたくさんあるけど、『作品』のサイトはほぼ見かけない。そして出来上がった作品を紹介するのではなく、作品を作っている途中を開示していきながらプロモーションしている。そして、これまでの片方向でのコミュニケーション(情報公開)ではなく、双方向のコミュニケーションを行っている点に大きな違いがある。これはその著者や作品に対するロイヤリティを高める部分でも大きな意味があると思う。


 


終盤にはFacebookでファンページを作る際の手順が整理されて記載されている。現状、ネット上を検索してもこれほど整理されてファンページについて書かれているところはなく、著者自身が経験が大いに活かされている。


企業のコミュニケーション担当者でなくても、個人ブランディングを考えている人にはいい手引き書になるのではないだろうか。