家庭の医学と一緒で、家庭に一冊あってもいいんじゃない? 『カビを防いで快適生活』 吉田政司




"カビを防いで快適生活" (吉田 政司)


この本は『本が好き!』から献本いただきました。


そろそろ年末の大掃除の計画を考えている人も多い頃だろう。普段、手を入れられない場所を入念に掃除をしたい、と考えているはず。中でも浴室のカビ対策などは普段からちょっとだけ目について、気になっていることだろう。本書は100ページにも満たない本だけど、中身はかなり濃縮されたものなので自分に希釈しながら使って欲しい。


 


『カビ』という強敵と立ち向かうには、まず『カビ』というものを理解する必要がある。戦いの前には敵の強みや弱みを把握するのは定石。『今さら・・・』と思う人もいるだろうが、おそらく常識の一部は刷新されることになるだろう。今時の家は戸建てだろうがマンションだろうが、密閉性が高く、かつ年間を通してエアコンが稼働しているケースが高い。また『カビは高温多湿を好み、梅雨の時期は気にしなければいけないけど冬はそんなに意識しなくても大丈夫』と思っている人が多いのではないか。しかし、事実は違う。すべてのカビが高温多湿を好むわけでもなく、また冬は室内と室外の温度差が大きくなるため窓などには結露が発生し、カビが発生する条件を作り出す。


今度は別の視点でチェックしてみよう。普段あまり使わないものはあまり開け閉めをしない収納庫や押し入れにしまっていないだろうか。あまり使わないものだから、なるべく詰め込んで・・・・。もしかしたら、その壁にはカビが・・・なんて可能性もある。


そんな時には本書をまず読んで、その後は辞書的に利用することをお勧めする。本書の中で紹介されている除カビ剤はカビトレンジャーという名称で5種類が紹介されている。そのカビトレンジャーのどれをどの場所で、どのように使えばいいのかが分かりやすく書かれている。僕が今までの意識と違ったのは浴室などのカビを取るのに乾いた状態に除カビ剤を散布するのではなく、濡らした状態に散布する方が効果的である、ということ。どうもこれはカビの活動が活性化している時に対応した方がいいらしい。また家の中だけではなく、クルマの中まで踏み込んでいる。言われて改めて気付いたことだけど、雨の日の濡れた靴の水分を含むマットや昼間(真夏でなくても)想像以上の高温になる密閉された環境は確かにカビには絶好の空間かも知れない。ちなみに僕はかつて台風の時にクルマを半分水没させたことがあって、クルマの中のカビで苦労した経験がある。いや〜、大変ですよクルマの中のカビって。


 


と、まあ、この時期旬な話題の本だけど家庭に一冊置いてあっても十分意味があると思う。この本がきっかけでお掃除好きになって、きれいな室内で過ごすことができれば価値が大きいでしょう。場所によるカビ対策も重要だけど、普段から換気というか空気の入れ換えを積極的に行うことが普段からできる一番の対策なのかも知れない。冬は寒いのをちょっと我慢して、まずは空気の入れ換えからですね。