『湾岸ミッドナイト THE MOVIE』は現代風アレンジで抜群の仕上がりだった


湾岸ミッドナイト_S30Z


湾岸ミッドナイト』は大鶴義丹が出た実写版のビデオの頃からのファンでアニメ版も制覇しているし、今でも時々見ることがある。どうしてもクルマが好きだった時期に見た映像の印象が強かったので今回の作品はあまり期待していなかった。が、予想に反して良い仕上がりの作品になっていた。細かい部分はいろいろ注文はあるけど、主人公の朝倉アキオにフォーカスするのではなく、ライバルのブラックバードを駆る島達也を中心に置き、島達也の語りで物語が進行していく作りはもう一つの『湾岸ミッドナイト』になっている。


島達也役には加藤和樹が抜擢されている。これは僕の中では素晴らしいキャスティングだと思っている。加藤和樹仮面ライダーカブトのドレイク役で初めて彼の存在を知り、映画版仮面ライダー仮面ライダー THE NEXT』のV3の演技を見た時に『クールな役は彼にピッタリだな』と感じていた。初期の実写版では作詞家の森雪之丞が演じていて、落ち着き感では森雪之丞の方が勝っているものの、他の役者とのバランスを考えると今回の構成では加藤和樹の選択は大正解だろう。


 


原作と対比させるといろいろな部分で齟齬がある。例えば、北見に代表されるチューナーは全面には出てこない。原作やアニメ版を愛する『湾岸ミッドナイト』ファンには『違う!』と言われそうだが、一部のマニアを除けばチューナーの存在は今の時代にはフィットしないだろう。一方、ディティールの部分はできる限り原作に忠実に再現している意気込みも感じ、制作スタッフが『湾岸ミッドナイト』に対して並ならぬ思いの元に制作していった気持ちを感じることができる。


 


不満がないわけではない。キャスティングで言えば、アキオの妹役に小林涼子はちょっと幼い印象を与えてしまう。演技の問題ではなく、顔のつくりや雰囲気なので小林涼子を使う必要があったのであれば、メイクや衣装で工夫が必要だったのではないか。


もう一つ個人的な不満はコウちゃんのクルマがFCじゃなくて、FDだったこと。せっかくZをS30にしたんだったら、何とかセブンもFDじゃなくてFCを用意して欲しかった。


 


この映画が興行的にどうだったのか気になるところではあるけれど、コミック、アニメと人気が高かった作品を現代版にアレンジしてチャレンジしたことことには敬意を払いたいし、出来上がりも本当にいい。こう書きながらまたiPadで見たくなってきた・・・・。




"湾岸ミッドナイト THE MOVIE [DVD]" (室賀厚)


 


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