iPadユーザの課題図書 『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』 倉園佳三


"iPhone×iPad クリエイティブ仕事術 本当に知りたかった厳選アプリ&クラウド連携テクニック" (倉園佳三)


本書の価値は『iPhone x iPad』の観点で書かれている点に尽きる。現時点での多くのiPadユーザは既にiPhoneを持っているだろう。そして、iPhoneiPadの関係は『1 + 1』ではなく、演算子は『X』でありながら必ずしも数値は『1』ではない。なぜなら無数のアプリケーションが存在するからである。


 


多くのiPadユーザはiPadMacBookの代わり、あるいはiPhoneでちょっとだけ不便だったところを補いたい、という気持ちが少なからずあったことだろう。こう書いている僕自身もそうである。その隙間をiPadで補えれば、基本的な部分はクリアしたことになる。例えば、ベッドの上で映画を見ること、電子ブックリーダーとして・・・しかし、徐々にそれだけでは満足出来なくなってくる(多くの人はワガママなのである)。せっかく、同じAppleのデバイスが揃っているんだから、一緒に使うメリットがないだろうか、と考え始める。ネットで調べると真面目にチャレンジしている人がいた。それが、本書の著者 倉園佳三氏である。


 


これまでにもたくさんのiPhoneに関する書籍、iPadのガイド本がリリースされているが、中身のすべて部分でを両方のデバイスに着目して書かれた作品(あえて作品と言わせてもらいたい)は初めてだろう。僕自身も何冊か読んでいるが、ガイドブックであり、それ以上でもそれ以下でもない。初心者の人を除けば、本当に望んでいるのはそういうことではなく、デバイス、アプリ、サービスを組み合わせ、駆使して得られるメリットを紹介してくれる指南書である。


 


本書の特徴は序盤で倉園氏のが書かれているとおり、『美しい』インターフェースというシンプルなルールに則ったことである。そう機能が充実していても、UIや操作感がイノベイティブでなければ長続きしない。この『長続き』は重要なポイントで、長続きしないものは『自分のもの』にならない。倉園氏は一貫してこのポイントを外していない。だからこそ、単にアプリケーションの紹介ではなく、アプリケーションを手段と捉え、そのアプリケーションを用いてクリエイティブな世界を作ろうじゃないか、そんな声が聞こえてきそうだ。


 


さて、本書は11章から成り立っている。


  1. ToDo

  2. 情報の一元管理

  3. すべてをiPad

  4. ウェブクリッピング

  5. RSSリーダー

  6. アプリ x クラウドソーシャルメディアへの情報発信

  7. クラウドコラボ by iPhone & iPad

  8. イデアとゴールの共有

  9. いつでも、そしてどこでも

  10. クラウドサービスを利用したSync

  11. iPadでプレゼン


これは僕が付けたサブタイトル。一つでも気になるものがあれば、本書を手に取って損はない。こんな楽しく読めて、すぐに実践できる作品は珍しい。お陰で、次のカードの引き落としをちょっとばかり気にしている自分がいる。明日は別の角度から『ZONOSTYLE』を書いてみたい。