天使たちの笑顔 ハービー・山口 写真展「街角の天使たち」

ハービー・山口写真展


次回mixebatのワークショップは僕が担当スタッフなので朝からなつき、ウッディと一緒にワークショップの設計に関してディスカッションを行った。まずは2時間半という時間制限を設けてこれまでのアイデアを精査し、本当にやりたいテーマなのか、当日の実現性などを吟味しながらアイデアをまとめた。基本的に僕は意見をいう立場ではなく、コーチ的な立ち位置で二人の考え方が合意できているのかどうかを確認する作業に徹した。何とかある程度の内容にまとまり、それぞれの担当部分、今後のタスクの確認をして解散。


 


そして、昨日に引き続き写真展に。


今日はハービー・山口さんの『街角の天使たち』で広尾の「インスタイル・フォトグラフィー・センター」というギャラリー。住宅街にあるこぢんまりとしたギャラリーにロンドン、東欧、東京それぞれの街角、モデルではなく普通の人が普段通りに生活している一瞬を捉えた作品が展示されている。これまで発表された作品に加えて、数点新しい作品も盛り込まれている。新しい作品の一つはTBSのアナウンサー「新井麻希」さんがモデルになっている作品もあったけど、ハービーさんに言われるまで分からなかった。新井さんとは以前のイベントでご一緒の席だったので本人とお話させていただいたことがあるんだけど、全く違う印象の写真になっている。手前の灯りの反射のお陰で全体から「柔らかさ」や「暖かさ」が伝わってくる。よく見ると、『撮るのが難しい』条件が複数重なっていて、一緒に行った伊藤さんと『さすがにプロだなあ』と感心させられるばかり。


今回もちょうどハービーさんがギャラリーにいらっしゃる時間に寄れたので、気になる写真は直接ハービーさんに聞くことができた(本当にラッキー!)。特に東欧で撮影された写真はベルリンの壁が無くなる直前に撮影されたもので、その微妙な時期にしか存在しない絵であったり、モナリザの微笑みではないけど表情にいろいろな気持ちが含まれているような印象を受ける。まるで合成写真に見える、ほぼ偶然の産物に見えるような一枚は東欧で最初に出来たマクドナルド(ブダベスト)の中の人を捉えている。こういう写真だけでは分からない部分をハービーさん本人から解説してもらえる至福のひとときだった。


 


写真に限らず文章もそうだけど、何かを見た時に『感じる力』と『表現する力』の両方を持ち得ていないと作品にはならない。『感じる力』は他の人よりも敏感に反応し、それを最終的なイメージにする能力が必要で、『表現する力』には写真であれば技術的な知識や経験、応用力、文章であれば筆力を問われる。どちらも意識しながら継続することで磨かれるものと信じて続けているが、なかなか目に見えての上達は感じない。ただ、こうして定期的に『良いもの』に触れることは必要なアクションだろう。


ちょうど一年前のこの時期、川崎市民ミュージアムでハービーさんの写真に出会って、いつの間にか魅力に引き込まれている。今月末には新しいエッセー集も出るとのこと。写真とは別にこちらも楽しみ。


デジタル全盛の今、『銀塩』、『モノクロ』、『細工なし』でここまでの表現力があることを体感してほしい。


 



ハービー・山口 写真展「街角の天使たち」


会期:2010年7月30日(金)〜 9月12日(日)1:00PM〜6:00PM(金曜7:00PMまで)週末:金、土、日曜のみオープン 休廊:月〜木曜日 


入場料:300円 中学以下無料


会場:インスタイル・フォトグラフィー・センター


住所:東京都港区南麻布5-2-9 インスタイル南麻布ビルディングB1F


   東京メトロ日比谷線 広尾駅下車 徒歩7分