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詰めが甘く、散漫な文章になっている 『レッドスカイ』 ジョセフ・リー


"レッドスカイ (幻冬舎文庫)" (ジョセフ リー)


この作品は初めての作家だったけど帯買いしました。結論は残念ながらイマイチでした。雰囲気は真山仁氏の作品のようなタッチなんだけど、プロットが散漫で話の流れが収斂していかない。


JALのような、体質が弱体化している航空会社の起死回生のシナリオに日米の政治が絡み、そして予想外の結末になる。JALの状況、航空業界の歪み、米軍基地の問題、横田基地という価値など着目しているポイントはいいんだけど、残念ながらすべてが細切れになっていて面白みになる前に途切れてしまう。


 


今、Amazonのレビューを見たらポジティブに評価されているんですね。単純なエンターテイメント小説としては楽しめるかも知れないけど、鋭さはないなあ。僕だったら、単行本が先行してリリースされているので、文庫化の時には大幅に手を入れてリリースすべきだったんじゃないのかと思っている(タイトルは変更になっているけど)。もしかしたら、僕だけがネガティブな印象を受けて、多くの人は満足したのかも知れないけど、それなりの読書量をこなしている人が読んだら満足しないと思う。


 


なんでだろうと思考を巡らせ、再度、パラパラと目を通すと一つ見えてきた部分がある。多分、それぞれの突っ込んだ取材をしていないんだろう。表面的にはいろいろな情報が盛り込まれているんだけど、あくまで『表面的』で多くの情報と知識で作られている感が強い。だから、『鋭さ』を感じない。


 


話の内容とは違うが、終盤で『玄庵』という店でステーキを食べるシーンが出てくる。実際に新宿にあるお店で僕も過去に何度か足を運んでいる。味だけではなく、美味しく食事を提供するホスピタリティに満ちた場所なんだけど、全然美味しそうに描かれていなく、玄庵の空気感もない。


ストーリー、着眼点、文章力がプロに求められるポイントだと思うけど、着眼点以外はプロに達していない。着眼点が良いだけに非常に残念な思いで最終ページを迎えた。こういう気持ちで解説を読むとさらに『アホか』という気持ちが上昇する。