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完遂することが仕事で成功する秘訣か 『ウェルチにNOを突きつけた現場主義の経営学』 千葉三樹


"ウェルチにNOを突きつけた現場主義の経営学 (光文社新書)" (千葉 三樹)


この本はその存在すら知らなくて、いつもお世話になっている『本が好き!』風竜胆さんの書評を読んで興味を持ち、早速読んでみた。


 


著者でもあり、この本の主人公 千葉三樹氏は僕の父親と同じ歳。時代を考えると、帰国子女でもない千葉氏が外資で仕事をするのは希有な存在だっただろう。想像するに、今であればGEはジャック・ウェルチの経営哲学でも有名になっているが、当時はエジソンが始めた企業程度の知名度だったのではないだろうか。


自力で大学に進みたかった千葉氏は航空自衛隊に入り、学費を稼ぎ、3年間の自衛隊生活を過ごした後に大学に入学している。更に修士課程に進んだため年齢も当時ではいき過ぎていて普通の就職先はなかった。指導教授の縁故を頼りに内定をもらった会社では社交辞令を言葉通りに受け取り入社できなかった、という失敗もした。新聞広告で見つけたGEの『Expediter』という職種に応募し、仕事を勘違いしたままGEに就職する。修士論文のテーマがGEの研究をしたことを考えるとこれも縁なのだろう。千葉氏を待ち受けていたのは非協力的な職場環境と工場のラインを止めないよう調達交渉をする調整役という今風に言えばストレスフルな職場。仕事を教えてもらう、てなことはなく、『自分で考え、自分で動く』そして『責任を持って対応する』ということを実務で学んでいく。直接書かれてはいないが、育った家庭環境や自衛隊での経験が千葉氏を支えたのではないだろう。


そんな千葉氏の成果は更に上の仕事にチャレンジするチャンスを生み、そのチャンスをものにしながら最後は本社の副社長に就任する。こう書くとなんとなくサクセスストーリーのような感じを受けるかも知れないが、読み進めていくと千葉氏の努力の賜物であることがよく分かる。それはところどころに出てくる千葉氏の言葉が物語っている。


 



(Expediterの仕事を他人の3倍こなし、100%のサラリーアップを要求したが認められず、その後、バイヤーに昇格した時)サラリーも50%もポンとアップした。ここで私はやっとわかったのだが、同じ仕事を続けていたら給料アップは原則無いのだ。


そう仕事の価値とは仕事量ではない。


 



「ミスター千葉、あなたはもちろんこれからもプロモート(昇進)されたいだろう。そうならば、直ちにあなたの後任を選んでおくべきだ。それができなければ、これ以上あなたのプロモートはない」


これが彼の第一声だった。そして私の隣に立つ採用したての部下を一瞥すると、「あなたは彼をどういう基準で選んだのか分からないが、今後はそういう基準で人を選ばなければいけない」と付け加えた。


仕事の上で人事は非常に重要なポジションを占める。その時の考え方の一つ。


 



そしてこの会社が私にチャンスを与え続けてくれたのも、この「やり続け、やり通したこと」を評価したからだと考えている。だからこそ私は感謝している。私の最大の信念が、「仕事はやるものであり、完遂するもの」だからである。


千葉氏の成功の源だろう。


 


全般に地に足がついた本当にいい本だと思う。千葉氏の仕事観から学ぶ部分は大いにあり、多くの人に読んでもらって損はない。