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専門性のパラダイムシフト


ちょっと前からメガネのフレームが若干歪んでいたので平日もコンタクトで過ごしていたんだけど、近所に『眼鏡市場』ができたこともあって試しに新しいメガネを作ることにした。この『眼鏡市場』に限らず、最近はメガネのディスカウントチェーンがいろいろ出てきていてメガネを作るコストは大幅に低下している気がする。実際の価格も1プライスあるいは2プライスというのが普通で、僕のようにかなり視力が悪い人でもこの特別なオプション無しで提示された値段でメガネができる。


 


この値段でできるようになった一番の要因は視力測定機の精度が著しく向上したことが大きいと思われる(もしかしたら、その上、価格自体も大幅に下がっているのかもしれないけど)。まずは視力測定機を除いてその人の視力を弾き出すわけだけど、これに要する時間が本当に短くなっている。そして、そこで出たスコアを元のレンズを組み合わせて実計測を行うわけだけど、この時にも機械を使って矯正による色味のバランス、左右のバランス、乱視の程度を見ながら数分で調整しきってしまう。


コスト面の直接的なことを考えるとこれらの機器類の精度が上がったことで短時間で目的を達成する(=レンズの度数を決める)ことができるようになったんだけど、それ以上にスタッフのスキルセットとして特殊な技術がいらなくなったことが大きいと思う。今までの視力を計るスキルやその結果からレンズの組み合わせを見つけるスキル、経験部分を機器類がカバーすることにより、機器を操作するスキルがあれば経験は大幅に短縮できることになる。もっと極端な言い方をすると、これまでのスキルや経験がいらなく、逆に機器類の操作スキルの方が重要になってくる。そして求められるのが、技術的なスキルではなく、接客などコミュニケーションスキルであり、重点ポイントがこちらにシフトしている。人材を集める時に技術スキルに依存しないのであれば、広く募集をすることができ、コストも押さえることが可能になるだろう。また客数の割にはスタッフの人数が少ないことも最近の店舗運営の特徴になっている。


 


これはメガネ業界だけの話ではなく、これまで技術スキルを対価に変えるビジネススキームだった業界では共通の話だろう。これまで価値があった技術スキルが機器類の進歩によって大きな価値ではなくなり、更にそれだけではなく全く違うスキルが求められるようになる。


人の側から見れば、技術スキルを向上させることは専門性を高める意味で重要なことであるが、全体感を持って専門性を高める努力をしないと気づいた時には梯子を外されかねない。悪意をもってそうされるのではなく、パラダイムシフトが起きる時には価値そのものが自然にシフトしてしまう。専門性が高い分野こそ、全体を俯瞰して見る視点が必要になってきている、そう感じた今日の出来事でした。