インプットは何をアウトプットしたいかを考えるべき 『知的ストレッチ入門』 日垣隆


"知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る (新潮文庫)" (日垣 隆)


電車の中吊りを見て、僕はiPhoneEvernoteに入力した一冊がこれ。僕のEvernoteには『candidate』というノートがあり、そこには今後読もうと考えている本を入力するようにしている。忘れないように、という意味もあるが、何かしら別のトリガーが加わった時に購入するようにしている。今回はあまり深い意味がなく、『小銭が必要』というシチュエーションになったので、目の前の書店に入って『candidate』からこの本を選んだ。


 


最初に断っておくと、タイトルはライフハックっぽいタイトルだけど、内容は全く違うものであり、ライフハック系、あるいはツールの探している人は避けた方がいい。また人によっては著者の日垣氏の口調や考え方が合わなく、批判的にとらえる人もいるかも知れない。僕は嫌いじゃない方なので、その辺も含めて楽しめたけど・・・・。


 


『おわりに』に書かれている渡辺昇一氏の『知的生活の方法』は中学生の時ぐらいに読んだ本である。内容はあまり理解できたとは思っていないけど、なんとなくインテリっぽい感じの記憶だけが残っている。ここに書かれているその他の著作もほぼ読んでいるので、きっとこの辺のテーマに関しては物心ついた時から自然と興味がある分野なのだろう。


で、本作の中で気になったポイントを書いてみよう。



知的ストレッチの基本3原則

  1. インプットは必ずアウトプットを前提にする

  2. うまくいった諸先輩の方法をどんどん採り入れる

  3. おのれを知る


1.の説明部分に『アウトプットする力を磨いてゆけば、わざわざ情報をとりにいかなくても、自分にとって重要な情報とは自然に「出合える」ようになる』と説明されている。ここは同感。気にしているテーマに関連するものは自然とアンテナも敏感になり、『見える』状態になる。そういう意味でもブログなどに残していくことは自分自身のためにも意味があると思う。


2.に関しては『共通技術はラクして手に入れる』と表現されている。天才タイプは別にして、限られた時間内に成果を出す必要があるほとんどの人には、既存の技術や知識を活用して無駄な時間をそこに使わない、ということを主張している。


3.は成長するための前提としてまず自分自身の位置付けを知る必要がある、と説く。そのためにも興味を持ったテーマに関連する書籍を5冊から10冊読む、という具体的な方法論を説明している。これも同感で、同じテーマの本を集中して読むと共通項が自然と頭の中に入ってきて理解が進むことはもちろんのこと、共通項は押さえなければいけないポイントなので整理も進む。実際に同じテーマの本を読み進めていくと、自然とスピードが上がって読めるので『速読』などの技術がなくてもそれほど時間を要しない。


 


他にも気になったキーワードがあるので、キーワードだけ記しておこう。



  • スピードは体験知に比例する

  • 本の選び方で目新しい分野では、基本文献を5冊ぐらい選び、選ぶ時には迷わない

  • 教養や知性というものは、たいてい羞恥心によって培われてゆくものなのかもしれない

  • 知りたいことがあるとき、それについて詳しい人の話を聞く、というのが実は最短距離

  • 仕事と趣味は何が違うかと言えば、依頼と締め切りがあるかどうか

  • ものを調べて報告する際に、最終的に一番大切なのは説得力である。