放心状態に 『最も遠い銀河』 白川道


"最も遠い銀河〈1〉冬 (幻冬舎文庫)" (白川 道)


2日で約1800ページを読み終えました。正直、『放心状態』というのが一番的を射ている表現だと思う。『天国への階段』を読み終えた時、もうこれ以上の作品は出てこないだろう、と思った。が、『終着駅』は『天国への階段』をはるかに凌ぐ出来だった。『終着駅』の時も同じ思いで、僕の周りの友人たちにはそのようなことを話した。でも、間違いでした。『最も遠い銀河』はそんな限界点を軽々と超えている。


 


"最も遠い銀河〈2〉春 (幻冬舎文庫)" (白川 道)


読んでいる途中、何度も元警察官 渡誠一郎を憎らしく思ったことか。真実が必ずしも幸せではなく、残された人たちが誰も迷惑することなく、やっと掴んだ幸せを味わってはいけないのだろうか。ある部分を隠すために取り繕った嘘という綻びは事実の前には無力になってしまう。時には運命としか呼べないような偶然が、また時には神の思し召しとしか言えないような巡り合わせがある。偶然ってなんだろう、運命ってなに、って考えさせられながらページはどんどん進んでいく。


 


"最も遠い銀河〈3〉夏 (幻冬舎文庫)" (白川 道)


白川道の作品は大好きだけど、唯一の不満は白川ワールドはどうして最後にこうなってしまうのだろうか、ということ。ハッピーエンドじゃだめなのかな。



光、生まれる朝


光、支配する午後


光、眠る夜


生まれいでたる光輝かざれば


夜の闇に朽ちるのみ


一瞬の光は


永遠の輝きをもって


遠い銀河に眠る


主人公 桐生晴之が人生を見直すきっかけになった詩。新宿の路上で名もない若い女が売っていた詩集に書かれていた。この詩に出会ったことが、桐生の運命の歯車が動き出す運命的な瞬間だったんだろう。


 


"最も遠い銀河〈4〉秋 (幻冬舎文庫)" (白川 道)


どうして何も書けないんだろう。気持ちはすごく興奮状態なのに、全く文章にならない。


でも僕がチョイスする本を『面白い』という人には間違いなく満足する作品だろう。ただし、時間を忘れてしまうから多忙の時には避けた方がいい。もし映像化するんだったら、桐生役は大森南朋にやって欲しい。