iPhoneアプリ『HUGO BOSS』にみるこれからの顧客アプローチ


毎日気になるiPhoneのアプリはチェックするようにしているんだけど、アプリの意味というか、今後の可能性を考えた時にこれは非常に気になった。ここのところ、毎日のように電子書籍に関するニュースはエントリが増えてきて、フォーマットのことや文字ベースの小説などと写真や図版が多い雑誌とは向いている、向いていない、といろいろな意見交換がされている。ちょっと距離を置いて見てみると、ファッションメーカーや通販カタログの電子化、それもWeb上でカタログ的な見せ方をするのではなく、アプリとして成り立たせてしまうことの方が早いように思う。ちょうど『HUGO BOSS』のiPhoneアプリがあったのでダウンロードしてみた。


 

Hugo Boss


 

Hugo Boss


ブランドを意識しているからか立ち上がりの部分がFlash的でちょっと嫌なんだけど、アプローチはよく考えられていると思う。気になるブランドラインをタップすると、ショップの検索、カタログ、そしてビデオを選択することができる。

Hugo Boss


ショップ検索ではiPhoneGPSを利用して近くのショップと自分の位置をマッピングしてくれる。狙いを付けたショップのピンをさらにタップするとショップの住所や電話番号などが出てきて、そのまま電話することもできる。この辺の利用者がしたいと思うことをストレスなくできるのは、アプリの作りだけではなくiPhoneが持つ機能を十二分に利用している。

Hugo Boss


 

Hugo Boss


 

Hugo Boss


『Looks』をタップすると、今シーズンの商品をカタログのような形で見ることができる。このアプリの場合には中心80%エリアぐらいがその部分に割り当てられていて、横にスワイプしながら切れ目なく見る形である。気になる写真を見つけたら、更にタップすると各商品のディテールが紹介され、誰かにメールで送ったり、ウィッシュリストに加えることができる。ビデオに関してはこのアプリの中にファイルがあるのでオフラインでもチェックすることができる。

Hugo Boss


 

Hugo Boss


 


バックでどの部分まで情報を吸い上げているのか分からないが、可能性としては店頭に商品を並べる前に需要の見極めをすることができると思っている。またある程度の利用ユーザを確保できれば、地域や商品の投入タイミングを従来の『勘』や『過去の経験』からではなく、ニーズに基づく対応が可能になるだろう。


またiTunesストアとの兼ね合いがあるけど、ここから直接購入するようなマネタイズのトリガーとしても利用可能かも知れない。特にiPhoneよりも画面サイズが大きいiPadなどでは十分にその可能性を持っていると言えるだろう。


 


そう考えると、『HUGO BOSS』のようなファッションメーカーだけではなく、通販会社はこれまで通販カタログを作成してきたコストをこちらに割り当てることでコミュニケーションとマーケティング、そしてセールスが同時に行えるタッチポイントを持つことになる。


ただし、自分たちの顧客が新しいデバイスやサービスなどに興味が強い人たちで構成されていないとまだまだ時期尚早だろう。とはいえ、今後はこういう部分でのマーケティングとコミュニケーションがしっかりとできる企業が勝ち残っていく方向だろう。