日常の一部の『事件』を解決する 「月曜日の水玉模様」 加納朋子


"月曜日の水玉模様 (集英社文庫)" (加納 朋子)


昨年が『原田マハ』ならば、今年は『加納朋子』かも知れない予感。何かって、僕の中のマイブーム。『モノレールねこ』を読んだ後なので、買ったのは昨年の夏ぐらい。それで買ってそのまま寝かせておいて、ようやく読んだ、というわけ。それがこの『月曜日の水玉模様』。『モノレールねこ』でも書いたように、誰が何というと加納朋子の文章は上手だ。文章だけではなく、構成やちょっとしたアイデアなどもスパイスが効いていて、知識量が多い読者の気持ちの奥をくすぐる。


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[Book]日常にもう一歩近づいてみると 「モノレールねこ」 加納朋子 2009-07-01


 


さて『月曜日の水玉模様』だけど、全体の構成としては連作短編の構成になっていて、タイトルから想像がつく通り、7つの話で成り立つ。


  1. 月曜日の水玉模様(げつようびのずたまもよう)

  2. 火曜日の頭痛発熱(かようびのつうはつねつ)

  3. 水曜日の探偵志願(すいようびのんていしがん)

  4. 木曜日の迷子案内(もくようびのいごあんない)

  5. 金曜日の目撃証人(きんようびのくげきしょうにん)

  6. 土曜日の嫁菜寿司(どようびのめなずし)

  7. 日曜日の雨天決行(にちようびのてんけっこう)


主人公の片桐陶子は丸の内の会社に勤めるOLで、町田に住んでいる彼女はいつも小田急線を利用している。その小田急線で出会ったもう一人の主人公が萩広海(彼は愛甲石田に住んでいる)。萩はリサーチ会社に勤める身ではあるけど、探偵ではないし、陶子にしても普通のOLである。その二人が身の回りに起きるちょっとした事件を解決するのが各短編のそれぞれのストーリーになっている。また各短編には少しずつ各キャラの素性を明らかにするエピソードが盛り込まれている。それが最後には伏線のテーマだったりもしたり・・・・。


何となく北森鴻の『香奈里屋』シリーズを思い浮かばせる感じもあるが、加納朋子の作品の方がライトな印象を受ける。それはディテールを書き過ぎないところがそうさせている気がする。それと、『普段』の生活の中で起きている事件ではない『日常』をスナップショットで切り取るとちょっとした『事件』になることが全体というか、加納朋子のモチーフであり、強みになっているところだろう。少なくとも、この作品を読み終わって『続きを読みたい』と思うのは僕だけじゃないと思う。


それから各短編の1ページ目にはタイトルが書かれていて、ひらがなのタイトルと共に一文字だけ水玉で反転している。それがあったので、僕は各タイトルの後にひらがなで書いてみた。ここまで凝っているのかと感心させられた。