「ほんじょ節」でこころがホクホク 『はじめての麦わら帽子』 本上まなみ


"はじめての麦わら帽子" (本上 まなみ)


「ほんじょ」の文章は気持ちがいい。TV越しの女優の「ほんじょ」じゃなく、まるで素の「ほんじょ」が語りかけているような錯覚になる。『はじめての麦わら帽子』は妊娠してから子どもが生まれ、娘さんが2歳ぐらいまでの時期に書かれたエッセーをまとめている。


第1章の『ちびむしあらわる』の『ちびむし』は妊娠時のお腹の中の子どもをさしているんだけど、うちでは『ちびぞー』と呼んでいたのでいきなり親近感がわいた(その『ちびぞー』が今の僕のハンドル名になったんだけど)。


 


それぞれのエッセーはどれもあったかく、思わず笑ってしまうエッセンスがたっぷりと入っている。中でも『みーたんのカプチーノ』と『ひだまりの秘密基地』は気に入っている。『みーたんのカプチーノ』では内容よりもいとこ同士集まって過ごす楽しかった時間を思い出した。なぜか学校の友達や近所の友達と過ごす感覚と違って、いとこ同士で集まって遊んだ時間は特別なものだった。うちの子どもたちを見ていても、妹の子どもたちと合うのが久しぶりであっても、その時間の隔たりを全く感じさせないぐらい、すぐに打ち解けあって気持ち全開で遊びに夢中になる。『ひだまりの秘密基地』では僕を小さい頃にタイムスリップさせてくれた。家の近所にはいっぱい雑木林があったので、その林の中に落ちた枝(枝といっても大振りのもの)を重ね合わせて人が数人入れるような家(?)のような基地を作った。近所のお兄ちゃんと一緒になって作った基地の中にいると大人たちはここを知らないので、すごくワクワク感に包まれながらお菓子を食べたり、ジュースを飲んだりしていた。大人から見ると何でもないものが子どもにとっては特別なものがいっぱいある。大人になるってころは、そういう気持ちが徐々に薄れていくことなんだろうな。


 


「ほんじょ」はそんな子どもの気持ちを持ち続ける不思議な人なのかも知れない。『最近ちょっと疲れ気味かな』と思う人は「ほんじょ」の話を読んで元気をもらった方がいいですね。