これからの自動車業界を考える 『ゼフィラム』 楡周平


"ゼフィラム─ZEPHIRUM─" (楡 周平)


amazonのレビューを読むと辛辣な評価なこの本。正直、僕は嫌いじゃないよ、この作品。ストーリーに何かしらの仕掛けがあるとか、ミスリードするような伏線があるとかではなく、ストレートにシンプルに時事ネタをうまくまとめている。サブプライム、米国大統領交代、エコなどを『クルマ』の切り口で表現しているので、小説というよりも時事問題を分かりやすく表現した作品、と呼んだ方が近い。これからの自動車メーカがどのような方向に進むべきか、トップでない会社が成熟したマーケットでどう新しい戦略を打ち出していくかなど興味を持って読んだら思いの外、楽しめます。エンターテイメントな作品なんだから、自分から楽しめるような受け取り方が必要なんじゃないかな。『ありえない』と言ったら、ほとんどの小説はそうだろうし、ミステリーなんて『そんなに簡単に人を殺さないだろう』と言い始めたらキリがない。


 


猫も杓子のハイブリッドな世の中だけど、高速走行時は通常のガソリンエンジンと一緒、ということを理解している人って意外に少ない。都心のようなストップ&ゴーが頻繁なエリアでは効果が高いけど、それ以外は意味がないとは言わないけど、宣伝文句のようなバラ色の世界ではないはず。自動車業界には辛いけど、今よりもクルマが少ない世界を作る方がエコかも知れない。


考えてみると僕自身は燃費の良いクルマに乗ったことがない。


 


"Cの福音 (角川文庫)" (楡 周平)


そろそろ『Cの福音』のような楡周平の作品を読みたいな。最近はちょっと路線が違うからね・・・。昔読んだこのシリーズを読み返してみようか。