『やらないこと』を明確にすることが強みの共通点


前にもこのブログで書いている通り、月曜日に配信されるJMM村上龍氏のコメントは毎週楽しみにしている。今週のコメントはこんなコメントだった。



わたしがインタビュアーをつとめる『カンブリア宮殿』というテレビ番組は、基本的に、成功している企業経営者をゲストに招きます。成功要因を解き明かして、示すわけですが、必ず考えてしまうことがあります。それは、当該企業の成功要因の多く「一般的」ではないことです。その企業が生産している商品、提供しているサービス、保持する独自の技術、抱える人材、事業規模、創業以来の歴史、経営のシステム、競合他社との関係性など、さまざまな要因が絡まって成功に結びついているわけですが、他の、異なる業態や業種の企業や個人にとって、参考にならないことのほうが多いのです。


不況下で業績を上げるために、多くの個人や企業はワラをもつかむ思いで成功の秘訣を探しています。ミもフタもない個別の企業努力だけがあって、秘訣などあるわけがないのですが、それでも多くのマスメディアは、成功に至る一般的な方法論を紹介しようとします。一般的に参考になることももちろんあるのですが、たいていの場合、それは「考え抜く」という一言に集約されます。面白くもおかしくもありません。ただし「考え抜く」ことには価値があるという事実は伝えられるかも知れない、そう思って番組を続けています。


僕自身はあまり『カンブリア宮殿』を見ることがない(この時間に家にいることはほとんどないし、うちには録画する装置がない)ので内容を文字情報で知ることが多い。たまたま今週の『ユザワヤ』の会長の話は見ることができたけど。ユニクロで買った服にユザワヤで買ったパーツを付けてオリジナルの服にする、というのは何となく時代を反映している気がした。全くのオリジナルを作るのはハードルが高いが、今あるものを組み合わせて半オリジナルを作る、という発想は普段の生活の中でも多く、仕事の企画などでも多く利用される手法だろう。


カンブリア宮殿』に限らず、その会社のトピックになるようなことにフォーカスして映像にするため、そこがその会社の特長や強みに見えてしまうけど、本当の強みは普段の些細なことなんじゃないかな、と思う。その積み重ねや継続性が強みを作り出している。トピックになることは後付けの理由にしか見えない。共通しているのは『やらないこと』を明確にしていること。これが『ぶれ』を無くして、社員のベクトルを合わせる一番単純な答えかも知れない。