比較サイトで自動車保険各社のコミュニケーションデザインを考える 後編


結論を先に書くと、三井ダイレクトを選択することにしました。価格は別の会社の方が安くなることは確認したのですが、30日までにメールだけではなく、郵送で見積内容、サービス内容を届けてくれたのは三井ダイレクトだけでした。僕にとっては、郵送物は特に必要ない資料ではあってけど、多くの人にとって最終的な検討をする上では『紙』になっていた方が便利だし、そういった部分も加味して郵送しているのだと思う。ソニー損保も郵送する、と書いてあってけど、タイミングを逸している。


 


マーケティングの目線で考えると、取得した情報から素早く最大限のアプローチをしている三井ダイレクトの各ステップの進め方は素晴らしいと思う。ネット専業だからこそ、ネット以外のアプローチも考慮し、タイミングを逃さずに対応している。見積内容だけではなく、サービス内容も同時に送っているのがポイント。もう一度、自社のセールスポイントを整理してユーザに届けることができる。こう考えると、三井ダイレクトの見積から成約にいたる率は結構高いんじゃないかな。




今回の自動車保険の更改に関連して僕自身が経験したことをまとめるみると、


  1. 『見積』を依頼してから『決定』までの時間は非常に短い時間の中で意志決定される

  2. 最初のタッチポイントであるメールの構成は非常に重要である

  3. ネット専業であってもネットの枠だけで考えるのは得策ではない


の3点。1.に関してみれば、過去のデータから平均成約時間や最短成約時間を継続して計測し、自分たち自身の業務と照らし合わせてフィットしているかどうかのチェックが可能だろう。2.は見積依頼者の立場にたって、『何』を求めているのか、『いつまで』に意識として必要か、受け取った後の行動シミュレーションを想像することでやらなければいけないことも洗い出せるだろう。3.は完全に想像力である。


 


自動車保険はほぼコモディティ化した商品になっている。コモディティ化した商品に於ける『価格』の位置付けは大きいが、必ずしも『価格』がすべてではない。『できる強み』を最大限に利用することができるかどうか、である。また低価格を武器に既存のマーケットから顧客を奪取してきたネット専業の保険会社にとって次に必要なものは『コミュニケーション』だ。そういう意味でも、三井ダイレクトの顧客獲得のフローはよくできている。


今回の内容はネット専業の別の事業体も見習うべきポイントはたくさんありそうだ。僕自身も良い経験だったし、保険料というコストも抑えることができた。過去をそのまま肯定せずに、たまには見直しみることは重要なことですね。