比較サイトで自動車保険各社のコミュニケーションデザインを考える 前編


ちょっと前に契約しているチューリッヒから自動車保険の満期の連絡が来た。契約更改時期は3月半ばなんだけど、1月中に更新するとちょっと安くなるとのことだったので週末に手続きをしようと思っていた。もう何年もチューリッヒなので、特に不満も無いし(事故を起こしていないから不満の出ようが無いんだけど)、価格も通常の損保に比べれば安いのであまり考えずに更新しようと思っていた。


一方で、仕事のための情報収集として比較サイトの見積一括依頼の実験台として自分自身の契約内容で依頼してみた。結論としては、『やってみてよかった』という感想。価格だけではなく、各社のマーケティング-セールス戦略を垣間見ることができた。

まず1月27日の夕方に価格.comから条件を入れて依頼した。見積なんてすぐに来るものだと思ったら、27日当日にはどこからも来なかった。まあ、もしかしたら価格.comから各社にデータが渡るのがバッチ処理なので最短でも翌日なのかも知れない。


 


で、実際にはこの順番で届いた。


  1. ソニー損保

  2. SBI損保

  3. 三井ダイレクト

  4. あいおい損保


更にアメリカンホームからは見積どころか何も届かない。ここで面白いのが、確かにソニー損保のメールが一番最初に届いたんだけど、メールの中には「見積は明日送ります」って書いてある。ってことは金額が分からないじゃん(Webで確認することもできない)。


SBIはメールの中に金額も記載してあり、親切な設計でした。で金額もかなり低め。ちょっと期待して記載されているURLをクリックしてアクセスしたところ、元々、価格.comで記載した車両保険の金額をかなり下げた状態で見積もっているために低価格になっている、というオチがある。マニュアルで希望する金額に戻しても低価格なんだけど、やり方が汚いというか、サイトにランディングさせて入力させる手段を採用している点で即対象外に。


三井ダイレクトはメールにも金額が記載されているし、記載内容もシンプルで親切な感じ。何を求めているかをよく考えて作られた構成になっていると思う。候補として残す。


次にあいおい損保のメールが届き、開けてみると金額の記載はなし、URLをクリックしてサイトにいかないとダメで、いきましたそのランディングサイトに。価格は問題外に高い。それもあり得ないぐらいに。比較サイトに出しているんだから同業他社がどれぐらいで提供しているかを理解していると思うんだけど、そもそも勝負にならない価格。提供サービスと対象者をまずは研究した方が良いんじゃないか、と心配しちゃうぐらいでした。


で、29日にアメリカンホームを除く最後にソニー損保のメールが届く。メールには価格が書いて無くて、サイトにいかないといけない設計。更にWindowsSafariだとブラウザチェックの画面に誘導され、先に進めない(MacだとSafariはOK)。仕方がないので、Firefoxでアクセスすると価格も高い。


 


こう見るとネット専業の場合のコミュニケーション設計は非常に重要な位置付けだな、と本来の目的とは別に良い勉強の機会になった。ターゲットにしている顧客像(層じゃなく)、必要とする(あるいは求めている)内容と価値、タイミングなどをしっかりとデザインして実行されているかが勝負の分かれ目になる。僕の下した結果は次回に。